【体験型観光が日本を変える326】紅葉の秋、信州と飛騨を訪ねて 藤澤安良


 ロシアのウクライナ侵攻も収まりが付かないまま、中東ではイスラエル軍のハマスへの報復のためか、ガザ地区北部への地上侵攻が開始された。

 ミサイルやロケット弾の砲撃により、町も住む家もがれきの山と化し、ハマスの拠点を叩くとしていながら一般市民や子供たちの犠牲が増え続けている。水も食料も滞る中で、命が続くのか心配はつきない。

 一方、日本国内は円安と物価高に悩まされ、賃金アップは掛け声だけで大企業しか上がる気配がなく、国民の暮らしは良くなっているとの実感はなく、その課題を巡って減税か現金給付かの政策議論が活発になっている。

 たった4万円という人も、ないよりはある方がいいという人もいる。貧困格差と平等の狭間で揺れている。せっかく上がった税収は赤字国家の債務削減に使うべきである。一過性の対処療法ではなく、未来が開ける根本的な政策が求められている。

 そんな日本の紅葉が各地で見頃を迎えている。過日は、信州と飛騨の定番コースである上高地、奥飛騨温泉郷、新穂高、高山、飛騨古川を3日間で訪ねた。

 新宿発のあずさ号は全席指定であるが、車掌の車内放送では木曜日だったが全席完売とのことだった。路線バスは7割以上が外国人である。上高地から平湯温泉間は53人中40人以上が外国人である。積み残しも起こっており、その対応にも追われていた。

 高山の町並みや市内のホテルはほぼ外国人、夜の町の居酒屋も外国人で活況を呈している。中でも、福地温泉や新平湯温泉はどちらかというとマニアックで鄙びた湯治場的なところであるが、欧米系の人々がバス停で降りてゆく。よく調べてうまく動いているものだと感心する。

 日本人はツアーバスとマイカーでの動きが中心であり、比較的路線バス利用者は少ないのであろう。しかし、期間中で出会ったツアーバスは3台、あっせん団体は1台、マイカーも少なく、上高地への乗り換え拠点の「さわんど」や「平湯」の駐車場も空いている方が多い。円安は外国人の財布がゆるくなり、物価高の日本人への影響は大きい。

 もう一つは、土日休日にしか出掛けられない日本の労働環境にも原因がありそうだ。土日の観光地は混雑し、食事場所にも長蛇の列ができ、高速道路も日曜日の東京に向かう上り車線はいつも大渋滞している。

 私も過日、高速バスで3時間遅れ、別の日に知人は4時間遅れだったと言う。新型コロナで在宅リモートが定着したかのように思えたが、実態はそうでもないようだ。平日休みを進めなければ、観光するチャンスが少なく平準化もままならない。土日のオーバーツーリズムは深刻である。平日観光の後押しの政策が必要になる。

 また、著名ではなくてもいいところは地方に山ほどある。しかし、残念なことに外国人の目に留まっていない地方が多い。

 日本らしい、自然の景観と建造物と料理と体験プログラムは魅力ある観光資源である。月末、ツーリズムEXPOジャパンが大阪で開催されたが、ファムトリップや情報発信に観光の地方分散の鍵がある。

 
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