【体験型観光が日本を変える333】精神的な進化が必要だ 藤澤安良


 ロシアのウクライナ侵攻はまもなく2年が経過しようとしている。また、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への侵攻も収まらず、いずれも死傷者は拡大する一方である。人類は人の命と引き換えに何を得ようとしているのか、人の命より大事なものが見つかるはずもない。長い人類の中で、人間が進化していない一面である。

 日本でも政界を揺るがす事件が起きている。政治資金規正法違反や収支報告書不記載などから裏金作りにつながってはいないかとの捜査が進んでいる。すでに、関係が疑われている大臣が更迭され、政党役員などが辞職した。

 政治と金の問題は35年前にも大きな問題となり、それ以来の長年の課題であった。国民に範を見せるべき立場である国会議員が、今なおそのような事態が続いているとなると、国民の政治への信頼を揺るがすことになるのは必定である。

 また、東京オリンピックの開催に際して、談合や贈収賄があったとして裁判が行われている。フェアプレーのスポーツであり、平和の祭典に泥を塗る形となる。

 民間でも中古車会社のあらゆる不祥事があったばかりだが、大手自動車会社で品質管理に関する検査データを偽装し合格させるという、自動車産業のみならず日本のものづくり産業の根幹を揺るがす大事件が発覚した。

 こちらも長年にわたって多様な車種で行われていたとして、日本にとって大きなマイナスになる。

 人が乗る車で命を運んでいる自覚が全くなく、こちらもまた企業としての社会的責任はどこへ行ってしまったのか、日本の精神が問われている。

 コロナ後の2024年は、山積している社会問題をクリアにして、新しい時代に向かわなければならない。大阪・関西万博も迫っており、無理も不祥事もなく完済されることを望むばかりである。そして、それがインバウンドを含む日本の観光の起爆剤となることを期待したい。

 誘客や経済効果が大阪や関西だけにとどまることなく、日本全土に波及する方策が必要になる。また、すでに京都や大阪の一部はオーバーツーリズムになっており、その現象に拍車がかかり、住民の暮らしに大きな負荷がかかることを避けるためにも、今インバウンドが薄い地域の頑張りどころでもある。

 著名観光地ではなく名所旧跡や社寺がなくとも、素朴な自然や農林水産業の地域は体験交流プログラムの可能性と和食文化が根付いており、インバウンドや国内の日本人の誘客拡大戦略を持つべきである。

 観光はコロナ前と大きく価値観もニーズも変化している。過去の延長線上に未来はない。観光産業側の古い人間の価値観では勝ち残れない。

 また、可処分所得のシェア争いも激化することになるが、人間が生きるという根本的な教育、食育と食文化、社会貢献、SDGs、自己実現、人間関係などの人の尊厳と深く絡み合うような全く新しい人間成長旅行が必要な時代である。そのコンセプトで高価値高利益のビジネスモデルの構築が急務である。人間は精神的進化が必要だ。

 
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