【体験型観光が日本を変える335】日本の田舎を応援しよう 藤澤安良


 過日、観光経済新聞社主催の「人気温泉旅館ホテル250選認定証授与式」が都内のホテルで盛会のうちに開催された。参加者も能登半島地震の話題で持ちきりとなった。来賓や受賞者の口からもお悔やみやお見舞いの言葉があった。

 その被害状況は日にちの経過とともに、マスコミもたくさん現地入りしており、悲惨さや甚大さが明らかになってきている。

 春に予定されている北陸新幹線の敦賀までの延伸により、北陸にさらに注目が集まることになるはずである。能登半島は北陸観光に欠かせない地域であり、一刻も早い復興が要になる。道路や水や電気などのインフラの復旧は急務であり、最低条件ではある。余震が収まればぜひ出掛けたいと思っている。

 そんな中、2023年の訪日外国人の入り込みが2506万6100人で、それによる外貨獲得は5兆2923億円であったと発表された。1人あたりの消費額は21万円を超えた。長らく15万円台であったが、円安効果もあってか一気に5万円以上の消費が伸びる結果となった。

 一部の地方のオーバーツーリズムはあるが、ほとんどが三大都市圏に福岡、札幌を加えた大都市型観光が主流となっている。

 都市部を中心に外資系のインターコンチネンタル、ヒルトン、マリオットなどの大手ホテルチェーンが相次いで25年までに8カ所もホテルの開業を予定している。

 一方で、オーバーツーリズムに全く縁がないような田舎にも、豊かな自然、体験プログラム、温泉、郷土料理、地酒など魅力はいっぱいある。大都市にないものも多い。大都市対田舎ではなく、互いにない魅力を補完し合う形で連携するべきだ。

 酸素も米・野菜・魚介類・肉・酒類もみんな田舎から都会に運んでいる。東京都の食品自給率は小笠原や伊豆諸島も青梅もあるが、ついに1%を切り、表示は0%となっている。

 外国人からは「日本食がおいしい」という声が聞こえてくる。評判のいい日本食の材料はどこから来ているのか考えなければならない。食料生産地である田舎が滅びては都会も生きていけない。都会のひとり勝ちでは日本の未来は危うい。

 また、有名観光地や温泉地は自立できるポテンシャルと業績がある。未開で未熟でも魅力があふれている地域を活性化させてこそ、インバウンド時代の到来に備えることができる。

 国家の支援策が著名地に片寄ることなく未来を見据えた支援施策が求められている。一方で、物価上昇、実質賃金の伸び悩み、円安、加えて地方の観光施設の人手不足も相まって、日本人の国内外を問わず旅行人口は伸び悩んでいる。

 日本人が旅に出られず、インバウンドに占拠されてしまったかのようだ。日本を明け渡したように見えたり、日本が買い占められて見えたり、経済だけの問題ではなく、それはとても寂しいことだ。

 国家も地方自治体も被災地の復興と同時に、日本の食料生産地である田舎の活性化のために、行動を起こす時である。私利私欲ではなく、公利のため新派閥「田舎応援派」という派閥に入るべきである。

 
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