【体験型観光が日本を変える336】日本とハワイの事情あれこれ 藤澤安良


 能登半島地震の被災地である北陸地方に雪の日が続く。全国的にスキー場は雪が少ないようなのに気のせいなのか、なぜか能登半島ばかりに雪が降っている。避難生活や復興の妨げになっているのではと気がかりである。

 新潟の知人から雪かきの写真が届き、気温は氷点下5度と書かれていた。その画像をハワイのホテルで受け取り、こちらからは晴れたワイキキの写真を送ったのだが、別世界ですねと返事が来た。ハワイの気温は25度である。気候もロケーションも快適である。

 この条件下ではあらゆるアウトドアスポーツなどのホエールやドルフィンウオッチングなどのマリンアクティビティは当然旅の目的となっているが、昨今では、再生可能な農業と文化を学ぶ農園ツアーや、森林管理の世話を手伝うツアー、運河の浄化活動への協力など、社会貢献活動やSDGs(持続可能な開発目標)を意識したプログラムの露出が始まっている。コロナ前にはなかった現象である。

 体験プログラム料金もランチ込みの4~5時間で150~200ドル(2万~3万円)程度になる。日本人には高く思える。

 日本でもインバウンド集客に向けて、トレッキング、農林水産業とそれにつながる食体験、日本的な歴史文化体験などの体験プログラムの整備と販売は当然ながら、SDGsなどのコンテンツも必要となるのは間違いない。

 2023年の日本のインバウンドが2500万人を超えてコロナ以前に戻りつつある中で、日本からハワイへの渡航者はコロナ以前よりは少なく、マスクをしている人はほとんど見ないが、ワイキキかいわいの日本語を聞く機会も少ない。日本人観光客数はコロナ以前にはまだ戻っていないと言える。

 日本と比較して高い物価と円安の影響は大きく、特に食事はランチでも2人で100ドルは日本円で1人約7500円となる。レストランでの夕食なら1人150ドルを超え2万円近くになる。アイスクリームのコーンは1200円である。カップ麺を持参し何食かはしのいでいる。

 改めて、日本の食のクオリティとコスパの高さは際立っている。日本の人気の高さの裏付けでもある。また、ホテルの宿泊代金5万円程度と、高くなった東京の2倍ぐらいになる。ブランド品のブティックは多いが、入店者は少なく買い物袋を手にしている人もまばらどころかほとんど見ない。庶民の夢がかなうハワイから富裕層のハワイになりかけている。

 増え続けている日本のインバウントとは対照的な状況がある。残念ながら日本人の富裕層ではない私は肩身が狭い思いをしている。植田日銀総裁の金融政策のコメントに円高要因が含まれるかと期待したのだがかなわなかった。

 まもなく暦の上では立春となる。能登半島の復興が進み、北陸新幹線の延伸が観光業界の起爆剤となり、春闘では賃上げ回答が良い結果となり、暮らしや経済にとって明るい春が訪れることを望みたい。今年の観光業界は、日本人の国内旅行集客拡大に向けた官の政策と民の対策での相乗効果を期待したい。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒