【体験型観光が日本を変える338】北陸応援割、観光低迷の起爆剤に 藤澤安良


 世界ではロシアのウクライナ侵攻から2年が経過したが、収まる気配はみえない。イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への攻撃は一般市民を巻き込み犠牲者が増え続けている。武器商人以外の世界経済は低迷している。

 日本では国会は始まったが、政治と金の問題や、国会議員の特定な宗教との関係などの、生産性のない問題に明け暮れている。被災地能登半島では冬の厳しい生活環境の中でがんばっている人々の姿がニュース映像で流れている。

 日本全体の観光も1~2月は局所的にインバウンドの恩恵があるところ以外は苦戦している。

 日本の冬の観光はクマなどの動物の冬眠に合わせるのか、スキー・スノーボードなどのウインタースポーツ以外は動きが鈍い。観光関係者の冬を売ろうとする努力が足りない。諦めも気にいらない。冬だからこそ見られる景色、現代では映える光景も、体験できるプログラムもある。そして冬にこそ作る料理やおいしいものがある。

 さらに、地域の名人・達人や志の高い人々に会い話を聞き、元気をもらう旅なら季節を問わない。むしろ、冬のほうが時間が取れそうである。

 豪雪も地吹雪も旅行商品としたことがあった。日本人がさほど行かなかった白川郷の雪景色も、長野県の地獄谷の猿もインバウンドの注目を集めている。

 全国の田舎は諦めずに冬ならではの体験、景観、味覚、人物にスポットを当てて情報発信すべきである。そんな日本国内は、物価上昇率3・8%賃上げ率1・2%では、差し引きすれば、可処分所得は低下し生活しにくい結果となり、旅行にまで及んでこないことになる。

 しかし、株価は日経平均3万7千円と高値を付けた。相次ぐ自動車業界の不祥事もあり、日本の生産力は大きく落ちているが大丈夫なのだろうかとも思う。

 観光庁は1月26日、能登半島地震の復興に向けた観光支援「北陸応援割」を発表した。新潟、富山、石川、福井4県への旅行商品を半額で購入でき、宿泊の場合は1人1泊につき2万円を上限とし、新幹線や高速バスなど交通費と宿泊がセットになったパックツアーも割引の対象とする。

 期間は3月から4月下旬の大型連休前までを念頭に置くとした。短期的な政策ではあるが、観光低迷の起爆剤になるはずである。旅行業界は割引があるからと言って販売金額を上げたりして、補助金額を収入に転嫁することなく実質お客への還元率を下げるようなことがあってはならない。不当なもうけに走らず適正な価格設定にしてほしい。

 旅行業界は著名観光地以外になかなか売れないし売ろうとしない。それではお客にも飽きられていることも多い。全国各地に出向いている私には、知られてはいないが素晴らしい旅行商品になるところはあまたあると感じる。

 また、今は資源素材がコンテンツとなっていない場合でも、磨き上げれば金の卵になりそうな潜在的可能性を持つ地域も多い。一方で、地方に住む人もうちなんかに人は来ないと思い込んでいる節がある。双方の意識変革と行動力が日本を変える。

 
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