【体験型観光が日本を変える339】企業生存の鍵は人材教育 藤澤安良


 立春は過ぎたとはいえ、気温は東京で19度、沖縄で27度と4月の温かさがやってきた。「三寒四温」を繰り返し春に近づくはずが、あまりにも極端である。また、例年に比べて雪が少なく営業期間を短縮せざるを得ないスキー場もある。冬の稼ぎが主たる収入源のスキー場にとっては死活問題である。

 1970年代は初滑りが11月下旬から始まった。地球温暖化の影響は無視できない。つまりは、スキー場の経営を考えると、春から秋までのグリーン期の収益確保のため、多角的な集客プログラムが必要になる。

 トレッキング・ハイキング・サイクリングなどのスキー場をベースとしたアウトドアアクティビティや体験プログラムが必要になる。豊かな自然環境があることからもキャンプ場と合わせての集客システムを実行する時に来ている。スキー場が山遊び場に変わらなければならない。

 一方で、相変わらず、インバウンドは中国の春節もあり好調に推移している。しかし、1~2月はいずれの観光地も日本人客の集客は低迷している。株式市場の株高と庶民生活はかけ離れているように思う。春以降の動きに期待したいが、今年も桜の開花時期が早くなるのかもしれない。

 桜観光は開花時期の動きに連動して、開花がずれた花見ツアーは相変わらずツアーキャンセルになっている。旅行日程の変更をするべきであるが、旅行業界はあえてトライしていないように思える。株の変動を追いかけるディーラーのようにしつこいくらいの分析と判断力での売り買いを見習うべきである。

 桜の開花日と気温には相関関係がある。ツアー設定の秋には難しいが、1月ぐらいから桜のある訪問地の気象データを分析してみれば、気象協会並みに桜の開花予想が分かる。

 幅広い日程でツアー設定し、判断できる早いタイミングで日程を絞り込んだり、設定を変更するなりして、直前のツアーキャンセルを一切しないぐらいに精度を高めるべきである。いろいろな花の観光や紅葉など四季の移ろいを観光資源にした企画は外しがないよう、何に対してもスペシャリストが必要になる。

 全国的に人手不足は大きな社会問題となっている。さらには人材不足も深刻である。地方の観光産業、とりわけ宿泊業は人手不足が深刻で満室でのサービス提供がままならないケースが少なくない。ベトナムなどの外国人労働者も増えている。

 全国規模の旅行業界も、社長や上司の言うことは聞くのだろうが、サプライヤーの言うことは聞かなかったり、期限までのレスポンスがなかったり、しっかりとした仕事ができない社員があまりにも多い。その意味では人手不足であり、人材不足が深刻であると言える。社員への教育はどうなっているのか、業界の未来が危うい。

 昨年のIMD世界人材ランキングでは日本は64カ国中過去最低の43位となった。日本の自動車会社などの大手企業の相次ぐ不祥事はすべては人の問題である。人材教育をしっかりする企業のみが生き残ることになる。

 
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