【体験型観光が日本を変える342】まん延する自己中心無行動症候群 藤澤安良


 自動車メーカーのダイハツに続いて日産も下請法違反で公正取引委員会から勧告を受けるという不祥事があった。しかし、勧告後下請け業者に返金した。すぐに対応した点は普通である。わが国ではその普通であり、当たり前の基準が変わってしまった。

 国政で所得申告記載漏れでは訂正だけで金銭は動いていない。政治家は、清廉潔白で自らが範を示すべき立場である。知らぬ存ぜぬで連綿と議員にしがみつくのは情けないと思うのだが、あまりにもごまかしたり逃げたりし、公人に非ざる所業である。さもなければ議員辞職し再挑戦した方が潔い。

 地方に出向く機会が多いが、地域のために働いていると感じられる行政職員が激減している。自分だけよければいい人、面倒な仕事や、大変な事柄には取り組まない。できるだけ自分の在任中には何もしないでやり過ごそうとしている。

 さらには、保身、面子、立場など価値のない価値観で動いている。人生観で世のため人のためや、社会貢献などの公僕として持つべき感性はどこへ行ってしまったのか。

 観光振興の分野でも同様である。自分の宿や施設のみお客が来ればいいとしか考えない。我田引水の言動が地域一丸や連携を困難にしている。

 また、観光振興戦略においても、コロナ後のマーケットは大きく変化しており、過去の延長線上に未来はない。コロナ後の価値観を踏まえて新しいチャレンジが必要である。それなのに動かないし、リスクを負わない風潮もまん延している。現状維持は後退衰退に他ならない。怠惰で前進しない自己中心無行動症候群がまん延している。

 コロナ後にコロナより怖い病が日本をむしばんでいる。とりわけ、人口減少が激しい地方は総合力で未来に立ち向かわなければ未来が危うい。

 週刊少年ジャンプなどの連載で「Dr.スランプ」「ドラゴンボール」はいずれもテレビアニメ化されるなど、誰でもよく知っている漫画家の巨匠・鳥山明氏が68歳で亡くなった。その訃報、早すぎる死を惜しむ声が世界中を駆け巡った。

 また、国民的アニメの「ちびまる子ちゃん」の声優・TARAKOさんも63歳の若さで亡くなった。長年親しんできた特徴ある声は余人をもって代えがたいと思うと残念である。

 おめでたい話題は宮崎駿監督のアニメ映画「君たちはどう生きるか」が、第96回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した。日本からの受賞は同じく宮崎監督の「千と千尋の神隠し」以来で、21年ぶりの快挙となった。

 まだ鑑賞していないので内容は分からないが「君たちはどう生きるか」のタイトルから察して、現在の人間に対して問いかけているようである。

 また、日本映画として初めてとなる。視覚効果賞を「ゴジラ―1・0(マイナスワン)」が受賞した。戦後の焼け野原に突如出現したゴジラとどう戦うのか。東日本大震災から13年が過ぎた3月11日。能登半島地震の復興とも重なる部分がある。建物やインフラだけではない。日本人の果敢に物事に立ち向かう姿の復興が求められている。

 
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