ベトナムのフーコック島より帰国した。日本からはホーチミンかハノイからの乗り継ぎ便しかなく不便ではある。私はフーコック島まで1時間と近いホーチミン乗り換えを選んだ。
前週述べた通り、韓国人が多いと表現したが、韓国からの直行便が5便もあり、韓国人ばっかりと言っても過言ではない。ナイトマーケットや街並みでは韓国語で声を掛けられ続け、店やホテルの案内表記もベトナム語・英語とハングルである。韓国の渡航者の多くが20~40代の若者やファミリー層である。韓国は若者が豊かなのかと見えてしまう。
5日間滞在したが、ホテルでは日本人に出会わず、日本語を聞くこともなく終わった。フーコック島に日本人3人が住んでいるという。その1人が日本人向けのツアーガイドをしており、島内を案内してもらった。
最南部の三つの島を結ぶゴンドラロープウエーは全長7899.9メートルと世界一の長さで、約15分でサンワールドという大きな仕掛けのテーマパークに到着する。
地場産業観光として、こしょう農園では赤こしょう・白こしょう・黒こしょうを生産している。また、カタクチイワシからつくる魚しょう(しょうゆ)醸造所では何に入れても風味が増すしょうゆを購入した。
ベトナム戦争時代の捕虜収容所が保存されており、拷問の様子が展示され、さながら地獄絵図のようで目をそむけたくなるものばかりである。戦争で失った命の多さは虚しくなるばかりだ。改めて、ウクライナ、ガザ地区での戦争の愚かさを確認することになる。
白砂のビーチは各所にありマリンスポーツも盛んである。2人目の日本人が居酒屋をやっているというので、夕食を食べに行った。味も雰囲気も料金もコミュニケーションも良かった。日本より食事代は少し安い。タクシーは半額以下である。これから、日本語ガイドツアーも居酒屋も日本人が訪れる可能性が高まるであろう。大切な観光の担い手である。
9年前にダナンを訪れた時と同様に直行便が飛ぶと大きくマーケットが広がる。鶏が先か卵が先かの理屈はあるが、どうやら海外旅行では直行便が先のようである。
今年の春の連休の人出のデータが発表された。海外旅行は円安と旅行費用の高騰で大きな伸びにはならず、国内の主要駅周辺は全国88%の地域でコロナ禍の前年より減少した。
大企業の決算は軒並み史上最高益などと発表され、賃上げもされることになるだろうが、24カ月実質賃金の減少、物価高、インバウンドに誘導された宿泊価格の高騰などの影響を受けて、安近短で済まそうとしたのではないかと推測される。
政府の観光地づくりなどの応援もありがたいが、中小企業に勤めている比率が70%のわが国で、発側(旅行者)の所得向上を図らなければ、観光地に外国人しかいない国になる。そうあっていいはずがない。観光地ではない、豊かな自然や農林水産業、伝統工芸や民俗芸能、そして新鮮食材で作る郷土料理がある。そんな田舎に人が訪れる仕組みづくりが求められている。