自民党の総裁選が佳境を迎えている(9月27日開票)。現総理の総裁選再出馬断念の意志がマスコミに伝えられるや否や、相次いで立候補者の名前が上がり、史上最高の9人もの候補が出そろった。実質的に日本の総理大臣が選ばれる選挙とあって、国民の注目も集まることになる。
いわゆる裏金問題の対応を巡って、これまでの国会審議で追及されている場面では踏み込まず、不透明なままで支持率を落とした政権であったが、今「全額返金」「制度を廃止にする」「使途をはっきりする」「領収書を必要とする」―などの政策案が候補者から語られた。それは注目すべき大きな変化である。
さらには、経済や所得の政策論が交わされてきている。物価高を押さえたり、消費税を減税ではなく、米国や欧州と比べて格段に安い物価の話ではなく、格段に低い賃金の問題でもある。
インバウンド客は飲食費や物品は円安を差し引いても安いと思っており、購入意欲も旺盛である。韓国、台湾、ベトナム、タイ、フィリピンなどアジアの隣国を去年と今年に渡航したが以前のように日本より格段に物価が安いわけではない。
賃金は欧米に比べて低いと思われる。所得倍増を掲げた候補者がいるが、早期にできればそれに越したことはない。それらの道筋の中で、モチベーション(労働意欲)の低さが大きな壁として立ちはだかっている。問われているのは労働生産性の向上による賃金を上げる政策である。
兵庫県知事の問題が連日報道されているが、職場や組織の課題としての人間関係、とりわけ、上に立つ人間のリーダーシップや社会通念上の常識、権力の座に着くと自己中心的になりがちだ。己をいさめて自己保身や私利に走らず、国民、住民、職員、従業員のために職制があることを理解していない人間も少なくない。従って、教育の問題を蔑ろにはできない。
東京大学の授業料が年間10万円程度上がるとのニュースが流れた。他の大学に及ぶことは必定であろう。大学までの教育費の無償化が急務である。
東京都葛飾区は修学旅行費約8万円を区の財政から支出すると発表した。稽古事や塾までは必要ないが、子育てや教育費にお金の心配がなくなれば出生率は上がるだろう。
オーストラリアの首相は10日、子供たちのSNS使用を禁止する法案を、年内に提出するという。メディアによると14歳か16歳未満が想定されている。首相は「われわれはソーシャルメディアが社会的危害を引き起こし、子供たちを本物の友達や体験から遠ざけていることを認識している」との声明を発表。「若者の安全と心身の健康が最も重要だ」と訴えた。
子供を性犯罪やいじめから守り、屋外での遊びやスポーツへの参加を促す狙いだという。「屋外」や「体験」というワードが使われており共感を得た。日本では教育の政策順位は低いが、若者の労働生産性向上も、青少年健全育成の面でも教育に力点を置くべきである。SNSではなく体験交流を通じた教育こそが先進国日本の歩みに不可欠である。