【体験型観光が日本を変える370】被団協にノーベル平和賞 藤澤安良


 今年のノーベル平和賞の選考委員会は、「核兵器のない世界を実現するために努力し、核兵器が二度と使われてはならないと証言を行ってきた」と評価し、ノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(被団協)を選んだと発表した。広島平和公園を米国のオバマ元大統領や広島サミットの開催で各国首脳が訪れたことも注目を浴びた要因だろう。

 ロシアのウクライナ侵攻が激化し戦略核の脅威が取り沙汰されている中で、核のない世界を目指すべきことには間違いないが、核兵器を持つ国には非核への道筋は遠い。しかし、日本の組織がノーベル平和賞を受賞した機会に日本政府は核兵器廃絶に向かって少なくともその思いに追いつくような行動をすべきであろう。

 衆院が解散し選挙戦に突入した。今までの物価高に賃上げが追い付かない閉塞(へいそく)感の満載の日本を変えてほしいと望む人が圧倒的に多いはずである。

 11日15時、羽田空港ではディズニーキャラクターのぬいぐるみや関連グッズが入ったお土産袋を持った修学旅行の生徒たちが10校近く往来するのを見た。地方空港へ帰る生徒である。修学旅行も東京や京都・大阪が圧倒的に多い。一般観光もインバウンドも都市に集中しがちである。

 都市と地方の広がる経済格差も大きな政治課題である。各政党は党首がテレビ番組で主張を繰り返し訴えているが、大局的に新しい日本のあり様を政策提言すべきである。政府も、地方も全てが変わろうとしないと日本の未来は危うい。

 10月中旬になり朝夕はようやく涼しく、秋が始まった。スポーツの秋は、野球では日本シリーズに向けた戦いが始まり、大リーグでもワールドシリーズに向けた熱い戦いが行われており、日本人の活躍が目立っている。日本人の活躍は各方面で目覚ましいものがある。

 卓球のアジア大会では男子シングルスの張本選手と女子団体で宿敵中国を破り、50年ぶりに優勝するという快挙を成し遂げた。スポーツは観戦も楽しいが、猛暑の夏にできなかったスポーツをするのは秋である。

 また、ぶどうやリンゴ等の果物、サケやサンマなどの魚介類、まつたけやしめじなどのきのこ類など、秋の旬の味覚が楽しめる。先月、秋を先取りし北海度に出向いて秋の味覚を味わった。

 残念なことに、飲食店や宿泊施設の食料・食材は、輸入食品、料理をしない出来合いの業務用既製品、インスタント食品が増え続けている。食は産地への旅の醍醐味(だいごみ)である。さらには、和食が世界無形文化遺産であり、その魅力と誇りを未来につなぎたいものだ。

 いよいよ、北海道から東北へと野山が色づきだし行楽の秋を迎える。農林水産業などの生産現場を訪れて食べるだけではなく収穫作業を体験するなど行動的な旅にしてほしい。さらには、旅する者だけではなく、旅先でスポーツや収穫体験等に係る地域の人々との交流も深めてほしい。

 風景観光からの脱却が滞在時間や経済効果のみならず顧客満足度を高めリピーターの獲得につながる。地方創生の切り札である。

 
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