【体験型観光が日本を変える371】楽して稼いではならない 藤澤安良


衆院選の真っただ中であるが、連日テレビ報道をにぎわせているのが強盗事件である。8月からすでに首都圏1都3県で14件にもおよんでいる。

深夜平穏に睡眠している家庭にバールでドアをこじ開けたり窓ガラスを割り押し入り、骨折や出血する重度な暴行を加え、ついに強盗殺人にまで発展した。さらには女性を拉致誘拐や、現金のほか車まで強奪するなどエスカレートする一方だ。

そして、逮捕者はすでに32人にもおよび、そのほとんどが20代の若者である。闇バイトによる同一グループによる犯行との見方である。
付近のコンビニエンスストアで道具を調達し、指紋を残し、やたら暴力的であるなど稚拙な実行犯だという。罪の重大さを考えるとリスクの大きさからも割に合わない犯罪である。一刻も早い指示役や首謀者の逮捕が待たれる。

被害に遭う家庭はどう選ばれるのか、近年、たび重なる事業者からの名簿や個人情報流出がある。また、リフォーム業者を装った訪問セールスで下見をしているとも言われている。なぜ若者が闇バイトに流れていくのか、抜け出せない巧妙な仕組みがあるのだろう。うまい話には裏があるのが世の常である。

日本中で引きこもりは146万人もいて、人手不足は深刻で廃業倒産にもつながっている。一方、在留外国人は増え続け過去最高の約359万人。仕事に対するモチベーションの低さは日本の大きな課題である。大変な仕事や気に入らない仕事もあるだろうが犯罪に手を染めるよりはいいはずである。

私の身近にも仕事が大変で面倒だとか、人間関係が嫌だという人も多い。誰しもが楽して、大金を得たいのは同じであるが、だからといって強盗や詐欺など人をだましたりおとしめたり、傷つけて金銭を得る方法は人の道ではない。世の中はそう思う通りにはいかないのが常である。それでも、夢や希望、あるいは喜びや生きがいを見つけてなんとか生きている。

最近のネット状況では怪しいメールが頻繁に届く。銀行で決済しているガス、電気等の公共料金の支払いが未払いだったり、取引口座のない銀行やクレジットカード会社からのパスワード変更依頼のメール、荷物の到着予定のない宅配便の不在連絡、税金は税理士を通じて正確に納付済みなのに国税庁から不足金連絡など、これだけフィッシングやうそばかりだと何を信用していいのか。

他国でもフェイクニュースやフェイク動画が横行している。高齢者や純粋な人ならだまされる可能性が高い世の中になった。ネットの発達は世界経済を大きく動かしたが、人間社会の大きな不安と新手の犯罪が増え堕落を招いている。

メールでの文字だけの付き合いではなく、人と人が直接顔を合わせてこそ学べる人間関係力が必要になる。そして社会性のためにはあらゆる体験交流が求められている。選挙公約では誰も言わないが、未来に向かって、勤勉実直な日本人を取り戻し、心も生活も豊かな国にしなければならない。

 
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