【体験型観光が日本を変える374】ブルネイ王国、親切度は日本以上 藤澤安良


 米大統領選ではトランプ氏が返り咲いた。ウクライナやガザ地区侵攻など二つの戦争がどうなるのか、貿易面での関税はどうするのか、米国第一主義の外交は日本への出方を含めてどうなるのか、強気の発言通り世の中は動くのか、懸念材料はいろいろありそうだ。日本の国政と合わせて、注目度は高まるばかりである。同時に日本も生活や経済が大きく好転することを望みたい。

 国土面積が三重県程度で人口約44万人、天然ガスと原油産油国であり、税金もなく、世界で最も豊かな国とも言われているボルネオ島のブルネイ王国を訪れた。成田空港から直行便で首都バンダルスリブガワンに約6時間で到着する近い国である。

 162人乗りのロイヤルブルネイ航空は往復とも9割以上の搭乗率であったが、そのうち日本人は10人程度と少ない。私も隣接するマレーシアのコタキナバルには渡航歴があるが、ブルネイは初めてである。

 観光情報は少なく、現地での交通事情がよくわからない。たまに見かける路線バスのバス停はあるが、時刻表も行き先表示も何もない。
 車上に行灯があるタクシーは国内で20台程度と言われ、その他はスマホアプリから配車依頼をするウーバータクシーのようなドアに小さいシールが貼ってあるもので、料金メーターはなく交渉で決まるが、10分程度距離ではどの運転手もいつも5ドル(約600円)であった。

 暑い国なので歩行者はほとんどなく、行動は車でのドア・ツー・ドアである。街中を歩いて回り、住人にモスク(イスラム教会)の場所を尋ねると、わざわざ建物の横まで約200メートルも同行し案内してくれた。

 また、レストランのスタッフに別の日本食堂を尋ねたら1階からエスカレーターに乗り、2階のお店の前まで誘導してくれた。指を差し「その先のエスカレーターを2階に上がってすぐ右です」ぐらいで十分である。日本人がいくら親切といえどもそこまではしない。親切度は日本人以上である。

 われわれが珍しいのか、乗ったタクシーや船に運転手は、どこから来たのか、何日滞在するのか、今日は何日目なのかと、判を押したように、誰もが入国管理官でも聞かなかった行動を聞いてくる。とても気さくで友好的な会話なので裏はなさそうだが、ある意味すごい監視社会である。

 食事は日本より少し安い。しかし、おいしいものを探すのは至難の業である。4日間の滞在期間中でついぞおいしいものを見つけられなかった。もっとも私の口に合わなかっただけであろう。現地の人々はその味に慣れていて納得しているのであろう。

 日本へのインバウンド客は増え続けており、成田から羽田を結ぶアクセス特急はいつも外国人の方が多い状況で着席できない。インバウンド客の多くが日本での食事のおいしさを堪能するに違いないと確信することになる。

 海外に行くたびに日本の食の素晴らしさを確認し、日本国内の旅に駆り立てられる。やっぱり次はアウトドアの体験交流とゆったり温泉と新鮮な魚介類を堪能したい。

※観光経済新聞11月18日号掲載コラム

 
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