【体験型観光が日本を変える376】国内旅行の良さ、再認識を 藤澤安良


 秋をゆっくり楽しむ時なく、冬の訪れを感じる冷たい雨が降った。東北や北海道からは雪の便りが届いた。そして師走となった。

 スポーツの秋も終盤。野球界では、またもや大谷翔平選手がMVPを満票で獲得した。さらには、世界野球のプレミア12で侍ジャパンが残念ながら準優勝であったが健闘した。日本野球のレベルの高さを証明することになった。

 政治の面では米国の大統領が1月にトランプ氏に変わる。日本にとって良きも悪しきも大きな変化が起こることが予想される。

 石破政権になった日本でも大きな変化が期待されている。今、議論が始まった103万円の壁問題の税制も、チマチマせず、生産性と賃金と物価の全ての角度から、勇気と判断力をダイナミックに動かさないと、日本の停滞ムードは払拭できない。

 観光業界でも、今年もあと1カ月となり、インバウンドは3千万人を超え、コロナ前の2019年を上回る勢いである。しかし、弊害も多い。

 インバウンドの多い地域のホテル代が軒並み上がり、白タクや白バス、無許可レンタカーまで現れている。

 違法な交通手段の運転手や経営者は外国人である場合が多く、日本の経済効果がそのまま外国人に持っていかれ、他国に流出しているケースも多い。

 さらには、交通ルールや交通標識、道路事情が違うこともあるが、外国人が運転するレンタカーによる事故が多発しており、日本人に比べて5・5倍に上っているという。経済効果だけで喜んでばかりはいられない。多くの問題の原因の除去等の対策を講じる必要がある。

 一方で、日本人の新婚旅行がハワイ、オーストラリア、欧米、オーシャンリゾートなどの海外旅行から国内旅行の方が多くなったとの報道があった。航空運賃や宿泊代などの旅費高と円安で、負担が多く若い世代にはついて行けない状況になっている。

 また、私立の中高の一般的な修学旅行は、コロナ以前はグローバル人材育成など学校特性をアピールし生徒募集につなげたいとして海外修学旅行が多かった。しかし、コロナ直後は海外旅行は復活しだしたが、保護者の懐具合がついて行けない場合が増えており、国内に戻る傾向にある。

 従来の国内修学旅行も、宿泊代、バス代など旅費の高騰、バスの確保が難しい地域が多く、オーバーツーリズムの影響等で、従来行っていた方面から変わる傾向が出ている。

 かくなる上は、インバウンドも、新婚旅行も、修学旅行も行き先は、交通費が海外より安く、宿泊費が都市より安く、自然が豊かで、あらゆる体験プログラムがそろっていて、米や野菜や魚介類が新鮮でおいしくて、祭りや行事などの歴史と文化を守る人情と志、日本の古来の伝統工芸の技と匠、それらを守り継承し続けてきた人がいる。

 いろいろな人に会えるのも旅の魅力である。日本の土産のほとんどは田舎で作られている。非日常を求める旅の目的地として最高なのは田舎である。政府は経済対策や補正予算でも地方創生の応援を願いたいものである。


(観光経済新聞12月2日号掲載コラム)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒