【体験型観光が日本を変える377】オフシーズン、観光業界は冬眠せず 藤澤安良


 ネット通販メルカリでの返品詐欺が多発している。いろいろな犯罪につながるツールとしてSNSが大きな問題となっている。

 豪州議会で16歳未満の利用を禁止する世界で初めての法案が可決された。兵庫県知事選でも、そのSNS戦略の勝利ともいわれた斎藤元彦知事が、関係者の選挙総括の投稿内容でその文言が次々と削除されていることが問題を大きくした。そして公職選挙法違反容疑での告発状を兵庫県警と神戸地検に送付された。

 ネット選挙時代を想定していない公選法が現代にそぐわないかもしれない。現代に起こっているあらゆる事象に法律が追いついていないことがある。この機会にあらゆる問題を法改正にもつなげてほしいものである。

 国会では政治資金の問題や103万円の壁等、少数与党故の緊張感が増している。与野党間での活発な議論が不可欠である。いずれにしても、国民の可処分所得が上がらなければ旅行消費に向かわない。政治が逃げたり先送りしたりしては国民も地球も救えない。

 12月になっても北国以外の平地は紅葉がまだ見られる。都内各所で紅葉の最盛期を迎えている。皇居乾通りの公開が11月30日から12月8日まで行われた。紅葉の美しい時期に、外国人客を含む来訪者もその美しさに感嘆の声が聞かれた。

 冬初めの紅葉は温暖化の影響が色濃く残る時代を映す。気候変動が激しい今日、日本の四季の移ろいが観光資源となっている現状では紅葉のほか、桜の開花など花を見るツアー企画はたくさんあるが、その開花やピークの予想がつかなくなると旅行会社のツアー設定日が難しくなる。

 また、冬季はスキーなどのウインタースポーツも降雪量の不足でスキー場の営業期間が短くなる。以前は3月末までの営業が、近年3月に入ると雪解けが激しく2月末までにしたスキー場もある。

 日本では12月から3月は気候と自然の彩が少なくなると各地が観光商材に苦戦することもあり、日本人観光客の動きが鈍くなる。しかし、業界は冬眠してはいられない。

 冬はカニやボタンなど鍋と温泉は定番であるが、季節に左右されない観光コンテンツが必要になる。私は日本中の地方にうかがっているが、農林水産業で自然を守り、自給率の少ない日本の食料生産に頑張っている人がいる。

 米、野菜、果物、卵、サケ、イクラ、ウニ等、価格の高騰が続いている。理解を深めるためには生産現場を訪れ話を聞くことである。さらには、日本の伝統文化を守り続けてきた木工、竹細工、つる細工、わら細工、泥染、藍染、草木染、織物などの伝統工芸師匠の技の伝承や後継が危ぶまれている。

 これもまた、生産現場を訪れ、苦労話を聞くと日本人として誇りを持ち、未来につなげる意識が芽生え応援したいと思うことになる。知恵と技と物語の主人公の多くは高齢者であり先送りできない。

 感動や学びは現場にある。「人に会う旅」は心の豊かさを取り戻せる機会である。近々その商品を発表したい。観光業界の発展と日本の地方創生の鍵となるはずだ。


(観光経済新聞12月9日号掲載コラム)

 
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