2024年の元日には能登半島地震が起こり、甚大な被害が出た。激動の年になりそうな始まりであった。
ロシアのウクライナ侵攻は間もなく3年が経過する。イスラエルのガザ地区侵攻も収束せず、隣国の韓国では大統領が厳戒令を出し、すぐに取り消されたものの混乱が続いている。
平和産業である観光は世界の世情が不安定であり、さらに円安となれば海外には足が向かない。インバウンドは世情が比較的安定している日本。日本人にとっての物価高も円安で打ち消され、おつりがくるぐらいである。食事も物産もリーズナブルに感じているという。
最近の日本の清酒や焼酎や泡盛が過去の和食と同じ無形文化遺産に指定された。それも追い風になる。19年のインバウンド3188万9千人を上回り、史上最高を記録すると思われる。一方で、電気・ガス・水道等の公共料金やガソリン代と食料品等の物価高は社会生活に大きな影響を及ぼしている。
大企業の賃上げは進んだ。しかし、日本の7割に及ぶ中小企業では浸透せず。インバウンドに引っ張られた宿泊や飲食などの値上がりもあり、日本人の国内旅行は伸び悩んでいる。
観光地や宿泊施設側から見ても三大都市圏や福岡市、ニセコや白馬、TDLやUSJなどのインバウンドが集中している以外の地方は行楽シーズンが外れると集客が激減することになる。つまりは、ウインタースポーツ以外の旅の目的提案が乏しい。
観光業界半世紀の経験があるが、この事情は今も変わらないまま今日を迎えている。観光の平準化と安定を求めると、スキー場はグリーン期、そうでない地域は冬季のコンテンツ開発が不可欠である。
テレビのロケも地方への旅番組が多く、風景は定番だが食事にスポットが当たっている。さらには、その食材の生産地である1次産業に結びつき、それを生業としている人がいる。
旅の感動を呼ぶ資源素材はいろいろあるが今求められるのは体験交流プログラムである。人に会い、人から話を聞き、その人のやっている生業を体験し、わずかな時間であっても、その人と同じ境遇に身を置くことにより、その人の生き様や誇りが心を揺り動かしてくれる。
心動かし心高める旅により、人々の心に豊かさを与えることが日本社会を変えることになる。
昨年の年末まで強盗、窃盗、殺人、詐欺、放火、無謀な運転による交通事故と残念な犯罪が相次いだ。人を傷つけ、おとしめ、だまし、殺傷する人としてあるまじき行為が横行している。貧困格差も原因の一つであると思われるが、人を思う気持ちの醸成が不可欠であり、教育や人づくりが求められている。
それについても、感動が薄い机上学問では及ばない。つまりは、体験交流である。課題山積の日本、25年は地方創生への期待も膨らむ。結果が生まれるよう日本の田舎をもっと応援すべきである。地方が豊かになり、人の心が豊かになり、日本が豊かになるよう、政府も地方自治体も観光業界も地方を大切にする年にしたいものである。
福井城跡の堀と御廊下橋