イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への侵攻が、人質交換が始まるなど好転の兆しを見せた。そんな中、米国でトランプ大統領が就任した。一方で、ロシアのウクライナ侵攻がどう動くのか。収束への期待が集まる。
米国のロサンジェルス郊外の山火事は158平方キロを焼失し、損害額は20兆円を超える。温暖化や乾燥で天災であろうが、規模は違えども毎年のように山火事が起こっている。対策を考える必要がありそうだ。
日本ではインバウンドが増え続けている。2024年は3686万9900人となり、消費金額も8兆1395万円、1人当たり約22万円となり、コロナ前の2019年をいずれも上回り史上最高となった。一昨年の日本人の国内旅行消費額が約22兆円であったが、その半分に迫る勢いである。
そのインバウンド増加は、オーバーツーリズムといわれ、一定の地域に集中している。分散が必要になる。中でも、京都は宿泊税を変動比率型にし、最高1万円を徴収するという。都市部に続いて、長野県や広島県でも新たに徴収することが決まっている。目的税として宿泊施設のみならず、旅の目的となる体験交流の推進など観光振興全般に活用してほしいものである。
野菜の高騰が目立つ。キャベツは1個税込み1026円値札を見た。今月から4月までの間で6121品目値上げの予定である。
日本の伝統的酒造りが無形文化遺産に登録された。その酒類も23%の値上げが予定されている。物価高は宿泊・飲食に大きく影響する。
観光は国民の懐具合に大きく左右される。物価高を超える給料のアップが必要になる。昨年から賃上げのムードは高まり、今年からは初任給を30万円から40万円にするという大手銀行や保険会社など、大企業は優秀な人材の獲得に躍起になっている。観光関連企業もそれに追随したいが、それだけの体力がある組織はまれである。
インフルエンザが猛威を振るっている。昨年末に海外に行く予定で車に荷物を積み込んだ後、同行予定の孫がインフルエンザではなかったが高熱を出していることが判明し、旅行を中止にした。年末は1医療機関当たり64.39人と、患者が過去最多となった。コロナの時のような感染予防対策が必要だと医者が言う。
国内観光が伸び悩んでいる。上昇気流に乗れない観光の起爆剤やゲームチェンジャーになるものが必要である。大阪・関西万博は、チケットの前売りが予定の半分である。始まれば盛り上がるだろうと期待したい。
国の補助金は、うがった見方かもしれないが、できているところ、あるいはメジャーなところに付いている。ますますできないところとの格差が開くばかりである。お金だけで観光振興ができるわけでもなく、ノウハウや行動力が必要なのは言うまでもないが、補助金とノウハウと観光人材育成のセットが必要である。
出来のよい子に勉強を教えるのは楽だし結果も出る。できない地域をできるようにすることこそ地方創生である。今こそ本質から逃げてはならない。
(観光経済新聞2025年1月27日号連載コラム)