【体験型観光が日本を変える384】観光客のモラル醸成に力を入れよ 藤澤安良


 日本列島に大寒波が襲来し、日本海側を中心に大雪をもたらした。例年の積雪量を数倍も上回る地域が出るなど、交通もまひ状態に陥った。豪雪地域の人々は雪かきに明け暮れる日々との嘆きが聞かれる。地域の人が外出を避けているにもかかわらず、雪道を超ミニスカートで歩く人の姿がテレビのニュース映像で流れていた。気候や服装は前情報として重要である。

 その寒波を逃れようとして沖縄に飛んだ。しかし、その沖縄でも12度~13度と、沖縄県民もこんな寒さはあまり経験がないと言うほどであった。寒波の影響が沖縄まで及んでいるという。

 2月といえども観光客はそこそこ来ている。中でもインバウンド客の多さが目につく。外国人が運転しているマークが貼り付けてあるレンタカーも多い。コロナ禍やそれ以前に比べて、宿泊代、飲食代、土産品代全てが大きく値上がりしていることに驚くばかりである。

 那覇の国際通りを歩く人も、アウトレットモールでも、インバウンドの方が多い。というより、アウトレットモールでは日本人がほとんどいないため、日本語を話す人間は珍しいのか、どの店でも世間話に花が咲いた。買い物というより情報収集であった。

 細く曲がりくねった道を通って行く、とてもおしゃれで雰囲気がある森の中にあるカフェにまでも、外国人がレンタカーでやって来ているではないか。その情報収集能力は鋭いものがある。お客が気に入れば距離や不便さを乗り越えて集客ができるという教訓でもある。

 成田空港に到着し、電車で帰るのだが、言葉から察するに近隣国の20代~30代の若者数人がシルバーシートに座った。老人や幼児がいても全く意に介せずスマホにくぎ付けの有様。日本人の若者にもいないわけではないが、われ先にと座る姿は周りを不快にする。

 ほかにも、タオルを浴槽につけるなど温泉の入り方、バイキングのやたら多く取る料理の取り方、場所をわきまえず大声で話す人、部屋着やスリッパでレストランに来る人には、あつれきやトラブルを極力避けたい日本人は見て見ぬふりをする場合が少なくないが、ホテルスタッフは毅然とした態度で入場を断るべきである。インバウンドには日本のビザ取得時の条件に日本のルールやモラルを守ることを必須にしたいものである。

 入国税関では、肉類など持ち込み禁止品目を、知人への土産だとか手作りだとか言い、大量に持ち込もうとする。

 日本への入国のルールの徹底ができていないのか、ルールを守ろうとする意識が欠如しているのか、いずれにしても、インバウンドの増加を手放しで喜んでばかりはいられない。モラル欠如がまん延しては日本の良さが失われていくことになる。

 人のふり見てわがふり直せと言うがごとく、同時に日本人のモラルの悪さも正さなければならない。消費額が大幅に増え、経済効果が大きくなることはありがたいが、精神文化が落ちていくことにしてはならない。今、全ての観光客のモラル醸成に力を注ぐ必要がある。


(2025年2月17日号連載コラム)

 
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