
ロシアのウクライナ侵攻はトランプ米大統領の働きかけで停戦へ動き出したが、折り合いがつかないままである。イスラエルのパレスチナ・ガザ地区侵攻も停戦協定がほごにされ、イスラエルの爆撃が再開した。こちらも、トランプ大統領の影響が色濃い状況である。一方で、日本の国会は商品券問題で停滞している。世界の動向からしてそんな場合ではない。
春分の日前には氷点下近くまで冷え込み、ひょうや雪が降った2日後に気温が25度を超える地域があるなど、服装でも戸惑うことになった。開花が間近に迫っている桜も春のつもりが、冬なのか夏なのか、戸惑っているはずだ。
高知、熊本に次いで東京の桜の開花は3月24日で、満開は30日と報じられた。日本国民はもとより、インバウンドも注目している。桜は昔から変わらず人気の観光資源である。それ故に4月上旬の桜観光用のバスかひっぱくしている。
私は遠くに桜を見に行くことは予定にないが、四季がある日本の春だけのチャンスを生かして近くの桜を愛でたいものである。桜の季節とともに新年度が始まる。冬場に苦戦を強いられた観光地にとっても芽吹きの春になってほしいものである。
会場の建設が間に合ったという報道がないまま、大阪・関西万博も開幕まで2週間となった。開幕日に全部完成し、出そろうのか心配でもある。日を追うごとにチケットの販売状況も徐々に増えてきたという。私も展示内容が何かを把握していないまま4月中に訪れる予定で入場券を購入した。
1970年の大阪万博に何回も足を運んだし、愛・地球博にも、つくば科学万博にも行った。何か新しい時代の刺激になるものがある。期待したいものである。
観光としては関西地方に大きな波及効果をもたらす。隣にはUSJがあり、現在もオーバーツーリズムになっている国際観光都市の大阪や世界的な人気観光都市京都がある。これらは、知名度が高く、宿泊地としても選ばれることからも経済効果は大きいはずである。
しかし、道中にある周りの滋賀・奈良・和歌山・福井・兵庫等の地域も大きな可能性を持っている。何もしないでじっと待っていても勝手に観光客が増えることはない。万博とのセット企画やコラボ企画が必要になる。
万博が未来志向のDXやAIが主流になることから、その対比として、アスファルトではなく土の野山を歩くような豊かな自然、新鮮食材に舌鼓を打つ農山漁村の暮らし体験、古い街並み散策、伝統工芸や民俗など著名観光地でなくても魅力いっぱいの地域がたくさんある。
さらには、私は、人は人に学び、人は人から元気をもらう「人に会う旅」を提唱しているが、全国各地に人の心を高めてくれる素敵な生き方をしている人がたくさんおられる。人材発掘も観光コンテンツ開発である。
旅は万博会場で完結するのではない。自然、歴史文化、体験、出会う人、全てが旅の印象となる。成功の条件は、相乗効果が多くの地域や人々に及んでいくことだ。期待が膨らむ。
(観光経済新聞2025年3月31日号掲載コラム)