【体験型観光が日本を変える390】新年度スタート、波乱の様相? 藤澤安良


 3月後半は北海道で雪が降り、九州では気温が30度を超える真夏日であった。東北では風速35メートルを超える台風並みの強風が吹き、新幹線も止まった。異常乾燥注意報が各地に出ており、東北に次いでまたもや、岡山市と愛媛県今治市で山林火災が相次ぎ、折からの強風も相まって、遠く離れている家屋まで飛び火するなど広大な面積を消失した。

 山林だけに消火水源からは遠く、ホースを何本もつないでの消防車からの消火にも限界があり、ヘリコプターでの消火に頼らざるを得ないなど、山林火災の課題が浮き彫りになった。

 3月27日の夜には雨が降り、沈静化に向かう見通しがついた。今後は、出火原因の特定を急ぎ、人為的なものが原因なら再発防止策を講じ、注意喚起をしなければならない。

 4月に入り新年度を迎え、入社式を終えて新入社員が入り、学校は入学式があり、新学期が始まった。平年並みの桜の開花は新生活を応援するかのような春の彩であり、花見に出かけるモチベーションを上げてくれる。観光の春のスタートとしての役割も大きい。

 いつも羽田空港から成田空港を結ぶアクセス特急に乗っているが、日本人の旅行客よりインバウンド客が多いと感じる電車内は時間帯を問わずいつも満席である。

 依然として都市型観光は顕著であるが、冬季はスキーでニセコや白馬など、豪雪とパウダースノーに人気が集中している。

 インバウンドが好調なのは経済としては大変ありがたいが、日本人の観光客の増加にはほとんど関係のないところで動いている。

 日本の米不足の原因は誰かが隠し持っていたり、他国に流出していることではない。和食を楽しむ外国人がお米を食べている分量も年間約20万トンに及ぶが、それが計算に入っていないのではないか。政府備蓄米の放出分17万トンと近い数値になる。

 消費額だけの計算でいいわけではない。その米不足や物価高の状況下で国民の閉塞感は拭えず、明るい未来を描けないでいる。

 さらには、新年度の国家予算成立が年度をまたいだり、米国が25%の追加関税を課すとの報道があり、自動車産業が大打撃を受け、株価にも影響を及ぼすであろう。政治の正念場であり、モグラたたきゲームのような政策ではなく国家の大計を示す必要がある。

 観光として、海外旅行促進策は何より円安の課題解決である。国内旅行はインバウンドと物価高と人件費に連動した宿泊代の高騰も高いハードルとなっている。大企業の賃金アップのニュースは承知しているが、中小企業や非正規社員が圧倒的に多いわが国では、物価高と先行き不安で旅行に向かう機運が醸成できていない。

 前回の大阪万博以後、若者が国鉄周遊券を使い、カニ族といわれるようなリュックを背負い、日本の隅々まで旅をした。国鉄のディスカバージャパンのポスターが各駅に貼られ、旅に駆り立てられた。若者が旅行できる国にしなければ国家の活力は生まれない。日本独自の起爆剤になるような「ブーンドックスBOONDOCKS・JAPAN」のような観光振興策が必要になる。


(観光経済新聞2025年4月7日号掲載コラム)

 
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