
桜が見頃というのに花冷えどころか真冬に戻ったり、天候不順が続いた。個人的には国内の花冷えを逃れるかのように3月末から4月初めにかけてハワイに行っていた。現地は連日晴れで日中の気温が25度と、爽やかで心地よい気候はさすがに世界のリゾートである。
今年は戦後80年になる。天皇皇后両陛下は7日、戦争の激戦地で旧日本軍の玉砕の地でもある硫黄島へ慰霊の訪問をされた。
ハワイでは84年前、太平洋戦争の開戦になった日本の真珠湾攻撃の方に注目が集まる。数度目ではあるが、パールハーバーメモリアルパークを訪れて開戦に至る世界的な背景を再確認する機会にした。何か今の世界経済のきな臭さが似ていて気になった。
ハワイは昨今の円安に加えて、ホテル代も食事代も土産代も日本と比較にはならないぐらい高く、物価高には閉口している。しかし、現地での過ごし方として、マリンスポーツやアウトドアアクティビティや観光ツアーなどは前日までネットで予約可能であり、成熟したリゾートのシステムである。それでも食事とトイレ、きめ細やかなサービスは日本の方が上である。
コロナ後徐々に日本人も戻り始めているが、元に戻るには日本の所得アップが不可欠であり、少し先になりそうである。そんな中、花冷えよりも経済が冷え込む事態が起こった。
米国のトランプ大統領が対米貿易で相互関税と称して世界各国に向けて国別の税率を発表した。対中国には34%としたが、中国は同時に対米報復関税として同率の34%を掛けるとした。今後の大国2国間の駆け引きが注目される。
日本へは24%と高率の関税を掛けるという。もちろん、日本政府の対応も難しい局面にある。その影響としても大きく利益を得るはずの米国を含め、世界同時株安となった。その政策を受けて全米50州で大規模な反対デモが行われているが、トランプ氏は「時には薬を飲まなければ」と意に介せず、変更や撤回に応じる気配はない。
日本の輸出産業への影響が大きいことから株価は大幅に下げた。とりわけ得意分野でもある自動車産業は下請け企業や従事者数など裾野が広く影響が大きいと予想される。
2年にわたって春闘で大手企業を中心に昇給があったが、賃上げと物価上昇の比較で物価高が上回り、家計を圧迫している中にあって、今春にも4千品目にも及ぶ物品の値上げが予定されており、大きな影響を受けないことを願うばかりである。
和牛や日本酒、そして魚介類などの食料品は、米国で生産できないので生産拡大にもならず、物価高にしかならない。政策の意図が理解できない。輸出予定の食品などの輸出が止まることがないことを願いたいものだが、同時に日本での内需拡大を図ることが求められる。
日本は年度替わりであるが、その日程に関係なくインバウンドが拡大している。同時に日本人の国内旅行を拡大させ、それらの国産国消で内需拡大に貢献することが必要になる。飲食店関係者は意識を高く持ってほしい。
(観光経済新聞2025年4月14日号掲載コラム)