今年もお盆の帰省ラッシュが「山の日」からやや分散しながら始まった。高速道路の渋滞は、都市部から地方に向け各地で起こっている。航空機も満席が多く、新幹線も指定席の満席は当然ながら自由席も混雑する。ふるさとへ向かう人が多いことも、子供連れが多いことも、家族の絆が感じられ、ほほえましく、うれしい日本の光景である。
過日乗った新幹線ののぞみ号で、車掌と英語圏の外国人男性2人がもめている様子。どうやら「ジャパンレールパス」で、のぞみ号に乗っていたようである。ジャパンレールパスでは「のぞみ」と「みずほ」は乗れないことになっている。当然そのパスには、注意事項として英語で記載されている。車掌の一度目の注意も聞かず、堂々と自由席に座っている。再度注意されると、車掌が何を言っているのか分からないと言わんばかりに、「誰か英語を話せる人はいないのか」などと英語で大声を張り上げる。態度からは確信犯であろうと推察できる。間違えて乗ったとでも言えば黙認してくれるとでも、伝わっているのかもしれない。
まったく別に運賃・料金を支払ってのぞみに乗っている外国人も少なくない。間違ったとしても本来ならば運賃・料金を全額支払ってもらうべきであるところを追加支払いがないままだとすれば、この様なケースはなくならないであろう。極めて外国人に手厚いパスなのでルールは守ってほしいものである。
一方で、JR各社は、JR九州の「ななつ星in九州」に続き、JR東日本の「トランスイート四季島」、JR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」など、こぞって豪華特別列車をデビューさせている。それらの列車の旅はかなりの高額
にもかかわらず、いずれも人気が高く、予約が取れないほどになっている。
それだけのお金がない場合でも、列車の旅はとてもいいものだ。日本人向けの「フルムーン夫婦グリーンパス」や「青春18きっぷ」などが知られているが、訪日外国人用と同様に、日本人用または日本居住者専用の「日本鉄道全線切符」が手に入れやすい価格で発売されれば、利便性の面からも、インパクトの面からも、新しい旅の需要を喚起することになる。そうすれば廃線が危惧されるローカル線を含めて、地方への旅が増えることは間違いない。さらには長旅が増え、地域振興につながることになる。
同時に、宿泊、飲食、観光スポットの整備、体験プログラム、ガイドツアーの造成など、全国各地が地域一丸となって受け入れ態勢を整備する機運を高めるような全国的な運動につなげていくべきであろう。実現すればDCキャンペーンをはるかにしのぐことになる。変革には勇断が不可欠である。