夏休みの後半、空いた隙間の日程で、ベトナムのビーチリゾート、ニャチャンを訪ねた。訪日外国人が多い中、成田からハノイまでは、日本人より外国人が多い。それにも増してハノイから乗り継いで当地に向かう便は、日本人が見当たらない。お盆期間に集中していたのか、お盆を過ぎたら日本人が出にくいのか、ニャチャンが知られていないのか、いろいろな理由が考えられる。
空港からは、ホテルのあるビーチまで約37キロもある。タクシーで1時間弱、代金は定額で日本円で約1500円と極めて安いのはありがたい。市内や観光スポットに出向くのもタクシーを利用する。空港以外はメーター制で安心である。
ニャチャンは建設中の大型ホテルも多く、ビーチリゾートとしての発展が期待されている。しかしながら、隣国の大国からの観光客が圧倒的に多い。目立つ色の服装で声も態度も大きい横柄な旅行者も増え、のんびり、ゆっくり、落ち着きや静寂を求めるリゾートとして求められている条件が覆されつつある。今後は、人が行かないところがいいと思うことになる。
場所や価格により食事が大きく違うのは万国共通ではあるが、ベトナム料理でおいしいと思うものが見当たらず、海外での日本食は年々おいしくなり、日本国内に近づいているとは言うものの、日本国内の優良店や田舎の家庭の味に優るはずもない。
たまたま、ホテルで知り合ったハノイに4年間滞在している日本の商社マンの家族と不思議な縁で会食をすることになった。そして連れて行ってもらった日本食の店が、店の構えや客室の設えも、現地従業員の日本語での接客会話やサービスマナーも、合格点であった。日本食のすべてのメニューの味も日本の店と遜色がない。仕事の内容や当地の生活についての話に花が咲いた。海外第一線でたくましく戦う企業戦士の一端を垣間見た。初対面であっても交流はいいものである。とても充実した時間を過ごした。
現地発着の1日オプショナルツアーもいろいろなコースが用意されている。1日に2、3の体験プログラムと、2、3箇所の見学地と、送迎とランチが付いて1万円までで設定されている。内容から見て安いと思う。しかし、日本人の需要が少ないことが原因だろうが、日本の旅行会社で予約しないと、ほとんどのツアーで日本語ガイドが付かないことは残念ではある。
オプショナルツアーのような着地型ツアーは、ホテルから何歩も足を伸ばさせる。全く異なる環境に身を置くことができる。素晴らしい大自然とも遭遇できる。そこでの体験プログラムやアクティビティは、閉じこもっていなくて良かったと言えるような別世界や非日常に導いてくれる。いろいろな人との出会いや、新しい自分との出会いも生まれる。自分の可能性を見いだしてくれる。つまりは、人生を変えることにもなる。人が動けば、何かが生まれ、何かを変えてゆく。旅の力はそれほどまでに大きい。