JTB商事の工事請負・コンサルティング・装備品販売
JTBグループの専門商社として、旅館・ホテルに最適なソリューションを提案しているJTB商事。現在の社名に変更してから20周年という節目の年を迎える中、同社の加藤雄次社長に今後の事業展開について聞いた。
――旅館ホテル業界の現状は。
総じて言えば活況を呈している印象だ。ただ、地域差、施設の規模の違いなどによって状況は異なる。地域で言えば東京、愛知、大阪、福岡など海外からの玄関口となっている都市圏は好調だ。他は北海道、京都、沖縄などの有名観光地。やはりインバウンドの効果が大きい。
地域差があると話したが、地方の一部ではインバウンドの広がりが出ている。今まで数%だった比率が20%、30%に高まったという話を聞く。交通手段に慣れて、自ら運転して出掛けたり、飛行機や鉄道で行くにしても運行時間の正確性や、地方に荷物を送っても正確な時間に届くといった、日本の安全性や安心感が浸透している。日本を何度も訪れるリピーターは、そういった面を評価して、今まで行っていない地域に行ってみようという意識になっている。
――そのような状況の中、どのような販売戦略を考えているのか。
やはり当社の強みである全国ネットワークを生かし、そのマーケットに対応することと、ワンストップで多様なことができる商品をそろえていることだ。前述の温度差があるという話にもつながるが、やはり地域や、宿泊客の層、施設の規模の違い、また、経営者の考えの違いによって、本質的な課題、解決手法が微妙に異なる。そのため一律にこれが良いという提案ではなく、よく話し合った末に、一番価値が高いと思われる商品やサービスを提案するように徹底している。採用していただくまで時間がかかるが、より信頼関係が強まり、かつ、末長いお付き合いができるというメリットが大きい。
――その中で、今一番のお勧めの商品・サービスは。
環境に配慮した商材は、大前提となる。歯ブラシなどアメニティだけでなく、スリッパ、ユニフォーム、シャンプーボトルなどこれまでリサイクルできなかったものへのリサイクルスキームへのチャレンジを進めていきたい。後は、施設スタッフのモチベーションにつながる省力化、省人化できる商品だ。アメニティのリサイクル新シリーズも今年早い段階で市場へ投入し、CO2排出とプラスチック使用量の削減へより貢献をしたい。2024年の取り扱いは対前年比110%と好調だった。
――昨年10月、アメニティの新カタログを発刊した。
SGDsに関するアメニティや、ご自宅で味わえないような高級感のある商品をそろえている。併せて、2年前から開始した、くし、歯ブラシ、カミソリをリサイクルして使用する「マテリアルリサイクル」のページも設けているが、ようやく参画施設が増えてきた。マテリアルリサイクルは、プラットフォームの提供が主要なため、差別化を図りたいという施設の要望にどこまで応えられるかという課題もある。そこをどうまとめていくかということで、実績づくりには苦労をしている面も正直ある。ただ、環境問題を考える上では、観光業界も避けては通れない課題だ。
――2月のホテレスショーに出展する。
ホテレスショーで新商品・サービスを披露する。目玉は、前述の働きやすいユニフォームや、お客さまの荷物の搬送を自動で行うオートメーションシステムだ。併せて、無人で運用でき、かつ、セキュリティがしっかりと確保された売店を提案する。
今回のテーマは昨年に引き続き、「ニューノーマル」となる。コロナのときのニューノーマルではなく、新しい価値とは何かを探すものだ。JTBグループのスローガンで「つなぐ」「つくる」「つなげる」があるが、JTB商事では、お客さまに最良の製品・サービスを提供することをお約束する、つなぐ、つくる、つなげるを前面に出してアピールするつもりだ。
――年頭にあたり業界へのメッセージを。
毎年恒例だが繰り返し言いたいと思っている。やはり日本のおもてなしは世界に誇れるもので、そこを先導しているのは宿泊施設の皆さまだと思っている。そのお手伝いを当社も精一杯させていただき、共に交流事業、ツーリズムを盛り上げていきたい。
■会社概要
【本社】東京都中野区本町2の46の1 中野坂上サンブライトツイン13階
【創立】1971年2月
【事業内容】新築、改装の工事請負、コンサルティングから装備品、消耗品の提案・販売、カタログギフト、販促品の販売など
【資本金】1億円
【従業員数】527人(2024年4月現在)
加藤社長