日本イトミックの業務用電気給湯機器製造・販売
今年創業77年を迎える国産初の老舗業務用電気給湯機器メーカーの日本イトミックは、給湯の電化を推進する第一人者として、社会に一石を投じている。近年では、脱炭素・省エネの分野で高効率な電気給湯機器である業務用エコキュートや循環加温ヒートポンプなどで、カーボンニュートラルの目標達成にまい進する。同社のマーケティング部次長の谷本洋太氏に、2025年の活動方針などを聞いた。
――改めて宿泊市場向けの主力商品について説明を。
給湯や飲料用のお湯を自動で提供する「ホットウォーターディスペンサーEHWDシリーズ」は、旅館・ホテルにおいても、ビュッフェ会場など飲料サービスの分野で熱湯を用いてオペレーションをする際に活用されている。
ワンプッシュで90度以上の熱湯が出湯できるほか、お湯が減った後も段階的に給水と沸かし上げを行う特許取得の「ステップボイル」機能で熱湯の供給を継続する。貯湯量は14リットルを誇る。
――販売を強化する製品については。
2022年10月から展開する宿泊施設に特化した電気瞬間湯沸器「EIWX―G300A1」の活用を呼び掛けている。幅255×奥行き97×高さ397ミリとコンパクトサイズで、シャワー用途に適した仕様。ビジネスホテルを中心に採用されている。
国内の宿泊施設の大半は、24時間施設内に湯を循環させて保温するセントラル給湯方式を活用している。常に湯を作り続けるため、一定のランニングコストを伴うと同時に、給湯用の配管にかかるメンテナンス費用も高額で、施設運営の足かせになっているのが実情。
このEIWX―G300A1は、客室を中心とした給湯が必要な箇所に小型の給湯設備を配置する局所給湯方式を採用したため、貯湯タンク不要で、配管も短く、初期費用やメンテナンスに伴う費用を削減できる。
お湯が必要な時に必要な分だけを瞬間的に沸かす仕組みのため、必要な分の電気しか使わず、維持費の抑制を図れることが最大のポイント。
さらに、安全弁を本体に内蔵し、配管をスマートにして、排水処理用の配管を不要にした。漏水時には本体の給水を遮断する「漏水検知機能」を標準装備したほか、60分の連続出湯機能を設けるなど安全面に配慮した。
――その他の製品は。
既存設備の入れ替えなどの施設向けには、業務用エコキュート小型機15キロワットシリーズの「CHP―15H2」などの設置を推奨する。加熱能力は15キロワット。給湯量は1日で最大20トンに対応し、小・中規模の宿泊施設をカバーする。
さらに、既設のガスや重油などの燃料系ボイラーからエコキュートに変えることで、クリーンな給湯環境を構築できる。
同時に、エコキュートは、多くの電力を使う昼間の時間帯に電気を使わず、電力使用量の少ない夜間に運転する。電力需要を夜間帯に移行させるピークシフトを実施することで電気料金を抑制。
そのため、施設のリニューアル時の入れ替えの際には、商品選定の一つに挙げてもらえれば。
――昨年11月には新たな研究・開発施設「iTOMIC LABO(イトミック ラボ)」を本社から徒歩3分の場所に開設した。
完全予約制のショールームを併設し、最新の電気給湯機器が出湯可能な状態で、来場者が体感できる点が特徴。
全国の有名カフェや大手コーヒーチェーンで採用されているホットウォーターディスペンサー「EHWD―14K カフェエディション」や、節水効果が高くユニークな水流の自動水栓が一体となった手洗い用超小型電気瞬間湯沸器「EIXMシリーズ」、厨房やバスルームなどでの利用に適した中型から大型の電気瞬間湯沸器といった最新の電気給湯機器から、定番の電気給湯器まで、多数展示。
――今年の営業展開については。
2月4日~7日に東京ビッグサイトで開催される国際ホテル・レストランショー(ブース番号:1―K27)では、弊社全機種を実演展示する。その中でも、カフェ向けのホットウォーターディスペンサーを実際に導入している企業さまによるデモンストレーションを実施する計画。最新の電気瞬間湯沸器を発表予定で、手洗い、洗い物、シャワーや、集中給湯など給湯でお困りの際にはぜひ足を運んでいただければ。
――旅館・ホテルへのメッセージを。
本年も引き続き業務用エコキュートの技術開発と普及を推進し、低炭素社会の実現に取り組む。宿泊市場向けに対しても、新たな製品の開発に着手し、観光立国の実現に尽力する方針。
■会社概要
【本社】東京都墨田区押上1の1の2 東京スカイツリーイーストタワー24階
【創業】1948年3月
【事業内容】業務用電気給湯機器(温水器、給湯器、湯沸器、瞬間湯沸器、ボイラー、業務用エコキュート、給湯ユニット、水栓等)の企画、設計、 開発、製造、販売およびメンテナンス
【資本金】1億円 【従業員】240人
谷本氏
EIWX―G300A1