ローカル・ガストロノミーへの取り組み
長崎県雲仙温泉の「雲仙福田屋」は、地元島原半島の食材の良さ、おいしさを多くの人々に知ってもらうとともに、伝統文化の食を長く後世に伝えたいとの思いから、地元食材をメインにした天ぷら専門店を開業した。
「種どり野菜」と呼ばれる、香りが良く、栄養価も高いといわれる雲仙市の伝統野菜をメインに提供。同社が整備した自社ファームでこれら野菜を育てるほか、島原半島一円の生産者を訪問し、食材となる野菜を買い付けている。生産者とコミュニケーションを取ることで食材に関する生きた情報を得られ、顧客に対して素材の良さを口頭でも伝えられるという。
魚介類は深江町の養殖クルマエビ、有明町のアナゴ、長崎県内の陸上養殖のクエなど。天ぷらの命ともいわれる衣は地元産の小麦と卵。揚げ油は瑞穂町のツバキ油。天つゆのベースは生産量日本一の島原半島の煮干し。大根おろしも地元で採れる在来種のダイコンと、細部まで地元食材にこだわりぬいている。
店は全席がカウンター。揚げたてをすぐに提供できるほか、料理人自らが料理と素材の説明をでき、顧客に食事をより楽しんでもらえる。2022年1月のオープン後、「地元の素材の素晴らしさにたくさんのお褒めの言葉を頂いている」。