コロナ禍を経てシロヘビでつながる友好の輪
古くからの言い伝えをヒントに「大蛇みこし」「白蛇みこし」を制作した老神温泉(群馬県)。同温泉観光協会は、天然記念物のシロヘビが生息する山口県岩国市などと“蛇つながり”の交流事業を行っている。
「赤城山の神が蛇に、男体山の神がムカデに化けて領地争いをした。その際、傷を負った蛇が刺さった矢を抜いて地面に突き刺したところ温泉が湧きだした」との言い伝えをもとに、昭和30年代に「大蛇みこし」を制作、地元の祭りを盛り上げた。
蛇とゆかりがある岩国市と東京都品川区との交流事業を2016年に開始。翌年、蛇にまつわる伝統行事を催す団体などに呼び掛けて「全国へびサミット」を同温泉で開催した。以降、大蛇みこしが各地の催しに赴き、現地の人々を楽しませている。
2020年は五輪に合わせて長さ20.2メートルの「白蛇みこし」を制作。岩国のシロヘビの天然記念物指定50周年となった2022年は、節目を祝う現地の祭りに招待され、この白蛇みこしを持ち込んだ。みこしは岩国を代表する建造物「錦帯橋」を渡る“歴史的快挙”も成し遂げた。
「これらイベントを通した人的交流の強化が、コロナ後の冷え切った地域経済の再活性化に寄与できるものと確信している」。