地域の受け皿としてホテルの新しい在り方
長崎市の長崎スカイホテルは2022年4月、長期入院や引きこもりを経て自立支援を必要とする人を対象に、ホテルを居室として生活訓練を受けながら社会的自立をしてもらう「宿泊型自立訓練施設」を設立した。開所から延べ30人を受け入れ、常に満床状態だという。
入居者はリネンクリーニングなどの作業を行いながら、スタッフのサポートの下、自炊や洗濯などの生活スキルを磨く。
部屋は2~4階の客室を改装し、1人暮らし用のスペースを確保。24時間365日スタッフの常駐、冷暖房完備など、ホテルのメリットを最大限に生かした環境を提供することで、入居者の不安解消につなげる。
04年、12年に通所介護事業所(デイサービス施設)、19年に障害者就労支援B型施設(1カ所目)、企業主導型保育園を設立するなど、福祉事業の中でも難易度の高い事業に取り組んできた同ホテル。着手した背景には「8050問題」による精神障害者の増加などが挙げられる。
長崎保護観察所から自立準備ホームの認可を取得し、罪を犯した人の受け入れ、生活支援も開始した。
今後も「ホテルだからこそできる社会貢献事業を地域の受け皿となり進めていく」。