【口福のおすそわけ 478】土佐の酢みかん文化 その2・特産品種編 竹内美樹


 土佐の酢みかん文化の続き。前号で「ぶしゅかん」の正体は次号に譲るとしたが、一体何? また、全国1位のシェアを誇るという「直七(なおしち)」や「餅柚(もちゆ)」って?

 まずは直七。今は100%高知県産だが、ルーツは広島県尾道市田熊で発見された酢みかん。だから正式名称は「田熊スダチ」なのだが、現在広島県では栽培されていないそうだ。産地は高知県宿毛市周辺。同市には樹齢200年以上という直七の木が現存しておりその歴史は古いが、他の地域ではほとんど知られていなかったとか。直七の名は、「魚に搾るとウマイよ!」と売り歩き、この酢みかんを広めた魚の行商人の名が由来。おかげで食酢として愛されるようになった。

 海・山・川の豊かな自然に恵まれた宿毛市だが、人口減に伴い耕作放棄地が増加。それを打開すべく、この地にしかない直七を特産品として売り出そうと、2009年にたった4戸のかんきつ農家で生産組合を設立。その後工場も整備し、組合の果実全てを搾汁するようになり、さらに直七生産株式会社として法人化。今は1日約10トン搾汁するが、元来生産者の集まり。自分たちが育てた果実から、自分たちの手で果汁を搾るという、全国でも珍しいケースだ。

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