【口福のおすそわけ 483】野木さんのブロッコリー 後編 竹内美樹


 前号の続き。福島県西白河郡中島村の野木富士男さんから、ブロッコリー栽培についてお話を伺ったところ、根にこぶができて水分を吸い上げられずに枯れてしまう「根こぶ病」になるのが一番困るそうだ。引き金は、連作障害。ブロッコリーだけでなく、キャベツ、白菜、小松菜、大根などアブラナ科の野菜は全て、同じ畑で栽培を続けると、連作障害が出るそうだ。4~5年間隔を空ければ良いらしいが、限られた農地では難しい。違う作物との輪作も、販路などの問題でなかなか厳しいという。連作障害自体の本当の原因は、まだ解明されていないそうだが、昔より確実に増えているため、酸性雨の影響が疑われているようだ。地球温暖化による高温だけでなく、大気汚染が原因となる酸性雨…。人類が自然を顧みず、身勝手に便利な暮らしを手に入れてきた代償は大きい。

 野木さんはじめ生産者の皆さまの、さまざまな苦労の末に収穫されたブロッコリー、おいしく食べなくちゃ♪ その素晴らしい栄養素も、しっかりいただこう! 特に優れているのが、ガンを予防するとされる強い抗酸化作用を持つ「イソチオシアネート」や「スルフォラファン」などファイトケミカルが豊富なこと。さらに、野菜なのにタンパク質が多く、含有量は絹ごし豆腐なみ。そして近年認知症予防になると話題の葉酸も豊富。鉄分やカリウム、ビタミンCなどの栄養素や食物繊維の含有量も、他の野菜に比べダントツだ。

 例えば「レモン●個分」という表現もあるほどビタミンCの宝庫とされるレモンは、1個分の果汁のビタミンCが約20ミリグラム。ブロッコリーは、100グラム(小房に分けて四つくらい)の含有量が140ミリグラム。何とレモン7個分だ! ただ、ビタミンCは水溶性だから、ゆでると半分くらいに減ってしまうので、蒸すかレンチンがおススメ。

 筆者がよく作るのは、オイル蒸し焼き。フライパンに、水とオリーブオイル、コンソメ顆粒(かりゅう)、チューブのおろしニンニク、鷹(たか)の爪を全部テキトーに入れ、小房に分けたブロッコリーも投入、ふたをして火にかけるだけ。最後に混ぜながら水分を飛ばせば、ゆでる手間が省ける。

 また、ビタミンEやβ―カロテンは、油と一緒に摂ると吸収率が上がるので一石二鳥だ。コレをパスタに混ぜてもイケるが、ある時某有名イタリアンのシェフから「パスタのソースにするなら、軟らかくてグチャっとなるくらいが、パスタとのなじみも良いし甘味が出てウマイよ」と言われ実践してみたところ、確かにその通り! それ以来、パスタの場合は火を通す時間を変えている。
 もう一つは、丸ごと炊き込みご飯。房と茎を切り分け、房はそのまま、茎は硬い皮をむくだけで炊飯器にイン! 調味料とバターも入れて炊けば、ブロッコリーはしゃもじで簡単に崩せるから、混ぜるだけで、美味ご飯の出来上がり♪

 ブロッコリーの花言葉は「小さな幸せ」。その口福を味わうのは、まさに小さな幸せ。野木さんに感謝!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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