【口福のおすそわけ 496】中国料理の着席ビュッフェ 竹内美樹


 先日、中国料理研究家瀧満里子先生のご著書『「中国料理」に魅せられて』出版記念の集いに出席させていただいた。場所は幼い頃からの思い出がたくさんある「ホテルオークラ東京」。建て替えを経て令和元年に再オープンし、名称も「The Okura Tokyo」となった。会の冒頭、お祝いのごあいさつに登壇されたのは中国料理界の重鎮の方々をはじめ、和の鉄人道場六三郎氏、フレンチの鉄人坂井宏行氏、名誉鉄人石鍋裕氏やKIHACHIの熊谷喜八氏など料理界のそうそうたる面々。皆さまに久々にお目にかかれて本当にうれしかった。

 形式は着席ビュッフェだったが、これだけ名だたるシェフたちが出席されていると、お料理の提供側もさぞ大変だろう。内容は、モチロン中国料理。オール中国料理のビュッフェは初体験だ。オークラが誇る中国料理店「桃花林」が調理を担当。同店は、日本初のホテル直営広東料理レストランなのだとか。総料理長陳龍誠氏は、昨秋黄綬褒章を受章されている。

 テーブルに置かれたメニューを数えると、その数何と28種類! その内容は…特製盛り合わせ冷菜・ハチノスのルースイ(煮込み)・豚ガツのルースイ・野菜のいり焼き点心・コショウ餅・焼売(シューマイ)・ニラエビ入り蒸しギョーザ・水ギョーザ・鴨肉のみそ炒め薄皮包み・肉と大根入り蒸し焼き餅・塩魚と豚肉のミンチ蒸し・ゲソの沙茶醤(サーチャジェン)炒め・中国野菜の腐乳(ふにゅう)炒め・叉焼(チャーシュー)細切りネギ入り平打ち麺炒め・黒しょうゆ炒飯など…。いろいろな方とのごあいさつや歓談なども考えると、全制覇はとてもムリ。

 取りあえず目を引いた、仔豚の丸焼きにGO! お顔も付いていて、確かに丸焼き、仔豚ちゃんゴメンね、などと思いつつ待っていると、カリカリに焼けた皮を奇麗な長方形にカットしてくださる。甜麺醤(テンメンジャン)と香菜を自分で添えるスタイル。コレが超ベリウマ♪ パリッパリのカリッカリなのに、皮の裏の脂がジューシー。実は、広東料理のお祝いの席には、仔豚の丸焼きが欠かせないそう。鴨の窯焼きも皮がパリッとウマイ。叉焼も豚トロの焼き物も、安定のおいしさ。

 カニの卵入りふかひれスープも絶品! カニの内子でオレンジ色に輝くこのスープは、桃花林の名物料理の一つ。実際お店でいただくと、1杯4千円というシロモノ。ディテールは違うだろうけど、スゴイ。豚足のしょうゆ煮込みも、ドドンと大きい。お箸で食すのは難しかったので、ナイフとフォークをいただいたくらい。ソフトシェルシュリンプのからし炒め煮は、カリッとジュワッと美味。ほかに酢豚を一口、スペアリブの黒豆みそ風味も一口いただいたが、食べたいと思っていた豚肉細切り焼きそばや点心まで到達できず、当然デザートはパス。

 賞味会を開催される際、必ずご試食なさる瀧先生のことだから、今回もそのお眼鏡にかなうお料理ばかりだったのだろう。ネタバレになるので詳細は語れないが、ご著書は、中国料理の魅力が全て網羅された大作。ぜひご一読を!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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