【口福のおすそわけ 497】ニラ玉の流儀 竹内美樹


 これからの季節、最もおいしくなるニラ。ハウス栽培によって、今では一年中流通しているが、本来の旬は3~5月なのだ。ニラは刈り取ってもまた生えてくるので、年に数回収穫可能だが、春一番はじめに刈り取った「一番ニラ」が、やわらかくて甘く美味とされる。

 ニラはユリ科ネギ属の植物で、ネギやニンニクの仲間。食欲をそそる独特の香りは、硫化アリル類の一種アリシンだ。根元の白い部分により多く含まれており、葉先のおよそ4倍といわれる。だから、根っこの方をたくさん切り落としてはもったいない。アリシンは、ビタミンB1の吸収を助け、疲労回復効果がある上、強い抗菌効果や、血液サラサラ効果も期待できるのだ。

 日本には中国から伝来したとされ、古事記にも登場するほど古い歴史があるが、かつては薬用だったそう。抗酸化作用が高いβ(ベータ)カロテンをはじめ、ビタミン類のほか、カリウムやカルシウム等、体に良い成分が豊富な優秀野菜ニラ。国内生産量、出荷量とも第1位は高知県。その出荷割合は何と全国の約4分の1!

 筆者は、お豆腐でも豚しゃぶでも何にでも合う、ニラだれを作ることが多い。みそ汁に入れるのも好き。彩りが奇麗になるし、青ネギよりパンチが効いた味わいになる。レバニラ炒めは、母がレバー嫌いなので、家では作らず専ら外食で。そうそう、生春巻き作りにも欠かせない。ニラを芯にすると巻きやすいのだ。ギョーザや韓国料理のチヂミ、野菜炒めなどでも大活躍♪

 ニラ玉もよく作る。簡単時短料理の代表選手だ。でも、いつも味付けで悩む。シンプルに、顆粒(かりゅう)の中華ダシだけでも結構イケるが、オイスターソース味や、ナンプラーを入れたアジアンな味付けでもウマイ。調理法も、普段はごま油で炒めてしまうが、油を使わず、しょうゆと砂糖を入れただしでニラをサッと煮て、卵でとじる和風にすることも。

 みんなどうしているんだろう?と、ググってみた。主流は卵をふわトロに仕上げるモノだったが、半熟でなく、あえて両面をしっかり焼き固めるタイプもあった。そういえば、町中華のニラ玉は固めが多い気がする。スクランブルエッグというよりいり卵とニラを炒め合わせた感じ。

 調理する人によって、ニラ玉の流儀は違うようだ。最初から卵とニラを混ぜ合わせて、一気に炒める人。先にニラを炒めて、そこに卵液を流し入れ炒め合わせる人。卵だけ先に炒めていったん取り出し、ニラを炒めたら卵を戻し合わせる人。ニラ王国高知県のJA公式サイトに掲載されていた「特製ニラ玉」は、スクランブルエッグにオイスターソース味のニラ入り餡(あん)をかけたモノだった。筆者の流儀は、炒めたニラをボウルの溶き卵の中にイン! フライパンに戻して卵にふんわり火を通す方法。

 卵は完全栄養食と呼ばれるほど、栄養素の宝庫だが、ビタミンCと食物繊維だけは含まれていない。この両者が豊富なニラとは最高のコンビ。いろんなスタイルで、ニラ玉を楽しもう♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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