【口福のおすそわけ 508】ガーリックシュリンプ♪ 竹内美樹


 エビもニンニクも大好きな筆者、ハワイの人気B級グルメ「ガーリックシュリンプ」は大好物。発祥の地は、オアフ島ノースショア。ワイキキビーチやダイアモンドヘッドの真反対に位置するノースショアへは、ホノルル中心部から車で約1時間。コオラウ山脈とワイアナエ山脈の間の内陸部か、東海岸沿いのいずれかを北上すれば着く。要はカメハメハ・ハイウェイを時計回りに行くか、反時計回りかということ。

 筆者は、内陸部からノースショアへ行き、東海岸を南下してホノルルに戻るルートが好き。ワヒアワのローカルな街並みを通り抜け、パイナップルで有名な「ドール・プランテーション」を過ぎてさらに走り続けると、突然左手に海が見えてくる。ウミガメ遭遇率ナンバーワンともいわれる、ラニアケア・ビーチだ。

 もう少し北上すると、東京ドーム約113個分の広大な敷地内に、ホテルやゴルフコース、直営農場など、さまざまな施設を有する高級リゾート「タートルベイ・リゾート」が。その辺りがこのルートの北限で、今度は東へ進み、海岸を目指す。その途中にあるカフクという町こそ、ガーリックシュリンプの発祥地なのだ。

 実はここカフク、かつて製糖工場があったそうだ。その後サトウキビ産業が衰退し、製糖工場も1971年に閉業。以来コレといった産業がなかったカフクで70年代後半からエビの養殖が始まったようだ。ハリケーンの影響を受けたり、病気に悩まされたりしたが、それを乗り越えおいしいと評判を呼んだ。今や、名物のガーリックシュリンプ目当てに観光客が押し寄せるまでに。

 ところが…である。ガーリックシュリンプの元祖とされ、養殖池でエビ釣り体験もできた、78年創業の人気店「ロミーズ」と、同じく店舗裏に養殖池があった「フミズ」が、昨夏閉店を余儀なくされた。野鳥保護のため、ハワイ州に土地を返還することになったのだ。ロミーズはフードトラックでの営業となり、フミズは店名が「タナカ」に変わり場所も移動した。当初は、看板がタナカでメニューはフミズという混乱ぶり。養殖池が無いなんて、そりゃ問題山積だろう。冷凍や他地域のエビを使う店が多い中、この2店舗だけは、正真正銘カフク産のエビを使っていたのに…。

 大人の事情はさておき、ガーリックシュリンプがウマイことに変わりはない。ベーシックな作り方は、みじん切りのニンニクとオリーブオイル、白ワイン、レモン汁で、軽く塩コショウしたエビをマリネして、フライパンで焼き、最後にバターを投入♪ マリネ液にしょうゆやスパイスを入れたり、おろし玉ネギを加えたりと、いろいろ個性はあるものの、基本はほぼ同じ。うまみと香りを閉じ込めるため、エビは殻付きのまま調理する。

 殻ごと手づかみで、ワシワシ食べるのが流儀。手が汚れたって気にしない! 名もない小さな町を一躍有名にしただけあって、超美味。家で簡単にできるのもうれしい。また食べたいな♪

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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