長年ほしいなぁと夢見ていた「せいろ」を、ようやくゲットした。鍋好きの筆者、鍋を見るとつい買いたくなり、居場所のない鍋たちがキッチンにあふれることに。当然家族中から新たな鍋の購入を反対される。直径30センチの2段せいろ、しかも鍋付きとなると、一体どこに置くの?と批判を浴びるに決まっている。だが、どうしてもガマンできず、ネットでポチってしまったのだ。コレはやっぱり言い出せない…と、自分の部屋に置いておいた。すると、予想外の展開に!
筆者の部屋に犬を連れてきた母が、大きなせいろを一目見て、「あら、コレ今はやってるんでしょ? この前テレビでやってたわよ」と。文句を言われずに済んだと胸をなで下ろすと同時に、え?そんなの聞いてないよ…と心の声。そこでググってみると、なんと最近、せいろブームが到来しているらしい。
昨年12月に発表された「料理SNSトレンド大賞2023」にも「せいろ蒸し」が選ばれており、この秋せいろが爆売れ状態だとテレビで取り上げられているようだ。人気生活雑貨店「無印良品」で9月に発売したところ、秒で売り切れたと話題に(現在は購入可能)。東京渋谷の「Loft」でも、昨年の4倍以上の売り上げで品切れ続出という。また、せいろ蒸しに特化したインスタグラマーの本も、飛ぶように売れているとか。
一体ナゼ、そんなに人気なのか? まずは、「蒸す」という調理法の仕上がりに対する満足度が高いから。蒸気で優しく加熱するから、食材にじんわり火が通り、素材そのもののうまみや甘みがギュギュっと凝縮する。100度以上にはならず、焦げる心配もない。水蒸気のおかげで食材の水分が保たれ、パサつかずふっくらジューシーに仕上がる。その上、うまみを一滴も逃さず、ゆでた時より栄養成分も失いにくい。炒め物や揚げ物と違い油を使わないからヘルシーで、さらに余分な脂まで落としてくれる。
電子レンジの普及で、冷やご飯を温めるのに蒸す必要がなくなったが、実際お赤飯などは、フライパン蒸しでさえスゴクおいしくなる。蒸気がこもらないせいろなら、きっともっとおいしいだろう。それに、材料を入れて火にかけたら、あとはタイマー任せ。ほったらかしでOKなのに、料理にきちんと感がある。しかも、使い終わったら、硬く絞ったぬれ布巾で拭いて乾かすだけと、実はメンテもラクチンなのだ。
…と、ブームに乗ったワケじゃないが、おかげで家族にも気兼ねなくせいろデビューができそうだ。手始めに蒸し料理の定番、キャベツと豚バラ肉の重ね蒸しでも作ってみよう!なんて意気込んでいたのだが、新しいせいろを使う前に必要な15分間の「空蒸(からむ)し」のハードルが高くて、いまだに腰がひけている。
お湯を沸かす鍋にスープなど1品+上のせいろ2段を駆使し、一度に数品調理しちゃうせいろ上級者もいる。目指すはそんな憧れのせいろライフ♪ 近づけるように頑張るぞ!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。