【口福のおすそわけ 549】お台場で味わう、土佐のごちそう 竹内美樹


 国内外のニッコー・ホテルズ・インターナショナルの旗艦ホテル「グランドニッコー 東京台場」。現在、数あるレストラン・バーのうち3店舗で、高知県産の美味食材を提供する「高知フェア」が開催されている。代表取締役社長総支配人・塚田忠保氏の指揮の下、こうした各県の食材を存分に味わえるフェアを取りまとめておられるのが、同社管財部の川上雅丈部長だ。

 江戸っ子の筆者だが、高知県観光特使を務めているご縁もあり、先日同フェアでお2人とご一緒させていただいた。レストランは、30階に位置する店内から、レインボー・ブリッジとその先に広がる東京の夜景が楽しめる「鉄板焼 銀杏」。

 1品目は「あおさのりのパンケーキ 釜揚げしらすと葉にんにくのぬた 宗田節のチップス添え」。あおさのりを混ぜ込んだ生地を、川上健朗シェフが目の前の鉄板で焼いて下さる。これぞ、鉄板焼きの醍醐味(だいごみ)。

 ぬたは通常酢みその和え物だが、高知のぬたはすり潰した葉にんにく入りで、キレイな緑色! 古くから葉にんにくを食す文化があるのは、16世紀末に土佐の戦国大名長宗我部元親が、朝鮮の役から帰国した際に持ち込んだからとか。

 高知では「どろめ」と呼ぶ生シラスやブリの刺し身などにかけることが多いが、それを釜揚げしらすにアレンジ。そして土佐清水市が生産量日本一、全国シェア約7割を占める宗田節(宗田鰹(かおつ)の鰹節)のパリパリなチップスがのっている。彩りも食感も最高♪

 続いて「藁(わら)焼き鰹のたたき 酒盗のマヨネーズとソースラビゴット」。鰹と言えば高知! 日本有数の産地であり、都道府県別年間消費量ランキングでもダントツの1位だ。藁で焼く理由は、藁は中が空洞で空気を多く含んでおり、少し油分もあるので、高火力で一気に鰹の表面をあぶることができる上、藁の薫香が鰹に移るからなのだそう。

 合わせるのは、塩やポン酢ではない。一つは酒盗マヨネーズ。酒盗とは鰹の内臓の塩漬けを熟成させたもので、今や和製アンチョビとも呼ばれる。元々鰹はうま味成分イノシン酸が豊富で、発酵によって別のうま味成分グルタミン酸も増えるため、濃厚な味わいに。

 土佐藩12代藩主山内豊資が「これをさかなにすると酒が盗まれるかのようになくなる」「酒を盗みたくなるほどうまい」と絶賛したのがその名の由来とされる。酒盗とマヨネーズを良い塩梅に和えたソースと、もう一つ、高知県産野菜と合わせたほど好い酸味のソースラビゴット、藁焼き鰹のハーモニーが素晴らしい。

 お次は、高知県が西日本一の漁獲量を誇る金目鯛(だい)の鉄板焼き、さらに「土佐あかうしと四万十麦酒牛のサーロイン食べ比べ」「四万十産鰻(うなぎ)の白焼き ひつまぶし風ガーリックライス」「土佐文旦とヨーグルトのムース クラッシュゼリーと琥珀(こはく)糖を添えて」とまだまだ続くが、詳細は次号で。

 この「高知フェア」は4月30日までと開催があとわずか。ご興味のある方は、お急ぎあれ! 超おススメだ。

※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

(観光経済新聞2025年4月14日号掲載コラム)

 
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