【地域創生と観光ビジネス52】ゴールデンウイークの東北道・三陸道マイカー旅、渋滞予測が的中 淑徳大学経営学部観光経営学科 学部長・教授 千葉千枝子


 好天に恵まれた今年のゴールデンウイーク。最長10日に及んだ大型連休を、皆さんはどのように過ごされただろうか。

 筆者は連休後半、東京から約550キロ離れた岩手三陸方面へと単独運転で愛車を駆った。今年90歳になる老父を伴い、先祖の墓がある陸前高田と釜石を目指したのである。ほかに同行した家族は、東北新幹線利用で途中合流ないしは離団して、退院したての父をサポートした。長距離運転に疲れがでないよう、往路は宇都宮で前泊、復路は仙台で後泊して、“やさしい移動”で走破した。木々を彩る野生の藤の花を窓外に、実に快適なマイカー旅だった。

 ちなみに1日の走行限度距離は「高速道路は500キロまで」とロードサービスのJAFは推奨する。前後泊の目安にしたい。

 渋滞予測で混雑ピークと目された下り5月3日は、東北道の通行時間を少しずらしただけで比較的、スムーズに流れてくれた。上りのピーク予想だった5日を避けて、6日午後に移動したのも幸いした。近ごろの高速道路の渋滞予測は的中率が高いので、ドライバーには助かる。

 下り坂から上り坂へと向かう凹(へこみ)みの部分を「サグ」と呼ぶ。サグでは、速度低下による渋滞が起こりやすい。こうしたサグの渋滞ポイントは、NEXCO東日本がネットに公表している。

 東北道なら羽入PA付近が代表例で、上り、下りともに詰まり気味。ほかにも下りの上河内SA、安達太良SA付近や、上り矢板IC付近にサグがある。事前にチェックしておくとよい。

 高速道路の連続運転は2時間を上限に休憩をとるのが一般的だが、混雑期はどこで渋滞に巻き込まれるか予見しづらい。そこで今回は、1時間から1時間半ごとに1回、休憩をとるようにした。SA・PAの混雑状況は「ドラぷらアプリ」が役立つ。混雑期対応で駐車場には誘導員がいたので、空きをウロウロ探す手間が省けた。

 さて、東北道と三陸道との結節で今後の全線開通が期待されるのが、「みやぎ県北高速幹線道路」である。東北道・栗原IC(仮称)と三陸道・登米ICを結ぶ予定で、現在は一部区間で供用を開始している。そこで東北道・築館ICで降りて国道、県道および供用区間を走ったところ、登米ICへと楽にアプローチできた。観光地・松島や石巻の混雑を避けようという、弟の発案だった。

 震災からわずか10年余月で全線開通した三陸道は、まさに東北復興のシンボルロードとも言えよう。無料で通行でき、景観も素晴らしい。ただ、区間によってはトイレがないため、途中、インターを降りなければならない。周辺に整備された「道の駅」の利用を促す狙いがあるが、片側一車線区間が多くて、渋滞すると身動きがとれなくなる。幸い今回は順調だったが、三陸道が多くの課題を抱えているのは確かである。

 ヒヤリハットもあった。自然渋滞でノロノロ走行の東北道上りで5日午後、目の前を走る山形ナンバーの乗用車が、速度を落とした前方車に追突した。こちらは小刻みにブレーキをかけ、ハンドルを小さく切って後続の車にハザードで知らせた。わずかの判断の違いで、あわや玉突き事故になるところだった。ご先祖様に守ってもらえたような気がした。

(淑徳大学 学長特別補佐・経営学部学部長・教授 千葉千枝子)

 
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