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仏・アコー系のブティックホテル「ホテル創成札幌Mギャラリーコレクション」に投宿した。
開拓使時代をほうふつとさせるレンガ色の歴史あるたたずまい。ホテルが立地するのは創成川の東側、複合商業施設サッポロファクトリーに隣接する。かつて「札幌開拓使麦酒醸造所」があった場所で、サッポロビール発祥の地だ。
バーラウンジにしつらえた暖炉は、美しいフォルムのビール釜が用いられている。3種のビールグラスから好みを選んで、よく磨かれたサーバーから新鮮なビールが注がれた。炎のゆらぎが、到着したての旅人の疲れを癒やしてくれる。
筆者の社会人スタートは芙蓉グループの富士銀行(現・みずほ銀行)だった。昭和最後の年の入行で、雇用機会均等法の1期生として採用された。まずはビールで乾杯の時代。サッポロ以外の銘柄は許されなかった。その富士銀行では日常業務はもちろんのこと、接客におけるさまざまな作法、それもお茶のくみ方から酒宴の流儀まで教えてもらい、その後の人生に役立った。そんなことを想い出しながらウエルカムビールを飲み干した。
スタイリッシュな客室からは窓外に、ビール工場跡の煙突が望めた。同ホテルがMギャラリーにリブランドして、ちょうど1年。ブティックホテルという業態をブランドラインにしたアコーグループの戦略には脱帽している。
新規開業ホテルがしのぎを削る札幌で高い客室稼働率を堅持しインバウンド比率は9割超えだ。F&B担当部長の月見里勝一さんによると、ブッフェ形式の朝食は北海道産の旬の食材にこだわり、連泊滞在型の外国人も飽きないメニュー構成にしているという。
総支配人の北原匡さんとは、リージェント台北(台北晶華酒店)在勤時からのつきあいで、かれこれ20年になる。実はラルフローレン好きだと今回、初めて知った。学生時代に米国で過ごしたのが理由だそう。そうしたファッションの話からワールドワイドなホテル事情までおしゃべりが尽きない。うれしく楽しい再会だった。
このところ、北海道のポテンシャルの高さに、あらためて考えさせられる。暮れには、念願だった「エスコンフィールドHOKKAIDO」の視察ツアーに参加して、スタジアムの価値創出のあり方を知ることができた。
また、新千歳の空港ラウンジから全景が望める半導体工場「ラピダス」は、今年11月が竣工予定だそう。一気に人の流れや経済が変わりそうな予感だ。「もう一度、日本が世界のトップに立つ」という同社の気概が伝わる。
今回は、足を延ばして積丹町も訪ねた。淑徳大学の教え子の小山彩由里さんが卒業後に移住して地域おこし協力隊として頑張っている。もうすぐ当地で起業するらしい。彼女が運転するランドクルーザーに乗って、冬の積丹半島をめぐった。ボタニカルな蒸留酒のジンを当地で製造販売する「積丹スピリット」が特に気に入った。
さて、タイ国つながりで知己朋友の「FMノースウェーブ」ディレクター・城野康子さんに、昨秋、連れて行ってもらった豊水すすきの駅近くのソウルミュージックバーが気に入って、訪札のたびにボトルキープを繰り返している。近くまた、行かなくては。
(淑徳大学 学長特別補佐・経営学部学部長・教授 千葉千枝子)