
今年も学生引率でハワイを訪ねた。シンガポールコースの学生と教員66名が無事に帰国したのを見届けてから、私たち10名は1週遅れでホノルルへと旅立った。科目名は「短期海外研修」。本学に経営学部が創設されて以来の正課科目であり、目玉科目である。
ハワイコースは昨年に新設したばかり。団費は諸税入れて31万円超と安くないが、そのうち10万円を大学側が負担する。
両コースともに、語学研修や物見遊山な旅とは異なり、滞在中は現地企業や各種施設をめぐる。参加学生は、経営学科所属の学生も対象なので、観光系に偏らないよう訪問先も吟味する。過去には大和ハウス工業のシンガポール現地法人に訪問した学生が、イスカンダル計画の講話で同社に興味を抱き、就職内定をいただいた。海外での学びと体験が、将来の仕事に結びついた好例だ。
主催旅行会社は、これまで1社独占だったのが、今回から相見積をとることにした。コンペの選定理由は安さだけではない。科目適合性と視察内容を主に、各社にプレゼン動画も提出してもらい、学内審査を行った。その結果、今回はHISに依頼することに。初取引である。
現地では、同社ホノルル支店を訪問してハワイ州における観光産業の実態などレクチャーを受け、さらにはハレクラニやアウトリガーなどのホテルインスペクションを組み込んでもらった。外資系ホテルの日本進出は過去にないペースで進み、ありがたいことに本学に求人もいただくが、学生の大半は本家本元を知らない。それでも沖縄ハレクラニでは、インターンシップや就職内定で世話になってきた。学生のうちに本場を知ってもらいたいとリクエストした。
ちなみにハワイ・ハレクラニは帝国ホテルと提携を結んでいる。日本からの上質な顧客を、どのように接遇しているのか。日本人のゲストサービスマネージャーが、丁寧に教えてくれた。学生のみならず、私自身が勉強になった。
また、同社の新商品「XploreRide(エクスプロア・ライド)」の体験モニターバスツアーにも参加させてもらった。
ダイヤモンドヘッドやワイキキビーチなど人気の観光スポットを観光バスで巡りながら、実際の風景とXR(クロスリアリティ)の世界を没入体験するもので、新たなハワイのアクティビティを経験できた。専用のヘッドマウントディスプレイを装着して、DFS前を出発進行。祖霊アウマクアが案内役を務め、美しいサンゴ礁が広がる海や溶岩が噴き出るボルケーノをディスプレイ越しに眺める。バスと同じ方向へとウミガメやイルカたちが一緒に泳いでくれて、思わず声があがる。雨天でビーチへ行けないときなどに、もってこいのエンターテイメントだ。
自由行動では、おのおのオアフ島を無料で周遊できる「LeaLeaトロリー」に乗車して、オプショナルツアーにも参加してホノルル滞在を十二分に満喫した。学生たちが楽しんでいる時間帯は、ほかの教員とHISの無料ラウンジ「LeaLeaラウンジ」のほか、「楽天カード ワイキキラウンジ」にも行ってみた。いずれもにぎわっていて、日本人観光客は意外に多いなと感じた。
ホノルルで業界の「旬」を学ぶ旅は、文字通り大成功だった。
(淑徳大学 学長特別補佐・経営学部学部長・教授 千葉千枝子)
(観光経済新聞25年3月17日号掲載コラム)