【地方再生・創生論 330】花粉症治療の情報提供が不足 松浪健四郎


 20年ほど前から花粉症に泣かされてきた。自分だけは大丈夫だと信じていたが、春になると鼻がムズムズ、水バナが出るようになった。カゼに似た症状であるが、薬が効かない。夏を迎えると、スギ花粉がなくなる関係でか、ピタッと花粉症が収まる。

 ところが、花粉症に襲われ始まると、症状がだんだんときつくなる。目がかゆくなり、眼科医院へ駆け込む。私の周辺の人たちも花粉症に苦しめられていた。日本人が弱くなったのか、それともスギ花粉が増えたのか、花粉症が一般的なものとなった。春になると耳鼻咽喉科の医院は患者でにぎにぎしくなるが、ほとんど花粉症だと医師が教えてくれた。

 それほど花粉症は以前より多くの国民を悩ませてきた。大きな社会問題でありながら、打つ手がなかったが、岸田政権では花粉症対策に関する関係閣僚会議が設けられた。花粉症に苦しむ国民が増加し、看過できない事態を迎えていると内閣も悟ったのだ。まず、「発症等対策」と「発生源対策」、そして「飛散対策」の3本柱で花粉症対策を進めるという。スギ花粉の飛散量の多少にかかわらず、治療を進めることができるのが「発症等対策」で、患者は症状の有無にこだわらず治療を受けるようにと説く。

 昨今、スギ花粉だけではなく、さまざまな樹木や草花の種類によって花粉の飛散時期は異なる。スギをあまり植えていない北海道には花粉症患者がいないと決めつけていたが、さにあらず、さまざまな花粉が患者を生むらしい。

 スギ花粉症の対処法は、アレルギー物質を徐々に体内に入れることで、アレルギー反応を弱める「アレルゲン免疫療法」がある。

 だが、治療薬が開発され、免疫療法が確立されているにもかかわらず、政府や自治体の広報が行き届いていない。がまんできる花粉症の症状ゆえ、なかなか通院しようとしないのは、広報に責任がある。適切な情報提供がなされ、3割負担で治療が受けられることを広報がすべきである。この平成30年から保険適用されたことが、国民間に知られていない。

 治療を受ければ、約8割の患者が効果を感じるにとどまらず、効果が持続するという。それほど「アレルゲン免疫療法」がいいらしい。私も近日中にこの療法を受けようと考えている。関係閣僚会議では、「発症等対策」の目玉として、必要な治療薬をできるだけ早く、現在の25万人分から100万人分へと増産させるとし、普及を図りたい考えのようだ。

 治療には、それほどの副作用がないらしく、たいていのスギ花粉症患者が受けることができるというが、ぜんそく、自己免疫疾患の患者や抗がん剤の使用中の患者は受けることができないという。免疫療法であるため、当然のことながら慎重でなければならないが、血圧の高い患者も要注意であろうか。抗がん剤や降圧剤等を使用している私には、治療法が限られるが、医師とよく相談して受診せねばならないようである。

 政府も各自治体も、一般的な疾患となっている花粉症に関する情報提供が十分とはいえない。患者である私は、毎年、売薬で対処してきたが、それほどの効果があったとは思えない。内閣が関係閣僚会議を設け、本気になって花粉症に対応している実情を歓迎しつつも、広く国民にそれを知らせてほしいと思う。

 花粉症の症状は、年を追うごとに重症化する、と私は体験から思っている。水バナが、だらんと無意識のうちに出てくる。目の底が、目玉を取り出したくなるほどのかゆみ、この苦しみはつらい。夏からは花粉症を忘れることができるが、今のうちに「アレルゲン免疫療法」を受ける必要があることを学んだ。費用も大した金額ではないため、1日も早く通院しようと考えている。いい治療法があるなんて、多くの患者は知らず、がまんして夏を迎えることに慣れてしまっている。私もその1人であったが、政府も本腰を入れて花粉症に取り組んでいるのだ。情報提供を本気ですべし、だ。

 
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