【地方再生・創生論 350】SDGs達成に努力を 松浪健四郎


 私の住む横浜市の都筑区では、毎週火曜日がプラスチック製品と段ボール・新聞紙等の回収日である。この分別回収は、リサイクルを市区町村の努力義務と定めた「プラスチック資源循環促進法が、2022年4月に施行されたからであるが、横浜市は以前より分別回収を行ってきた優等生都市だ。それは市がリサイクル工場を確保していたからであろう。

 国連が2015年に採択したSDGsは、日本国内でも幅広く浸透した。そのバッチを胸につける企業人も多く、企業活動に組み込まれつつある。プラスチックごみであれば、「海の豊かさを守ろう」「つくる責任、つかう責任」「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」と関係深いと私は考える。この国連のSDGs(持続可能な開発目標)の17のテーマに私たちは取り組み、循環型社会の構築を目指す必要がある。すべての人たちがSDGsを理解し、できることから取り組まねばならない。まず、ごみの分別から始めよう。

 2000年の容器包装リサイクル法の完全施行で、私たちはスーパーで買い物をしても、今ではレジ袋代金を払わねばならなくなった。1円玉を常に持ち歩くのは消費税の関係もあったが、常識となった。レジ袋が有料になると、買物袋が流行した。レジ袋や食品トレーなどのプラスチック製容器包装等を分別回収・リサイクルすることが、自治体の努力義務となった。で、全国の自治体のうち8割が分別回収を行うようになった。

 日本財団は、2023年からアスリートたちに「プラスチック製品を回収しよう!」と呼びかけた。やがて国民運動にしたいのだが、まず、アスリートたちに回収運動の旗手として呼びかけた。美しい海を守り、つくる責任・つかう責任を理解するための一歩、SDGsのステークホルダーとしての自覚を促す運動でもあろうか。まず、私たちも協力して全国の大学の運動部に呼びかけ、プラスチックごみについての啓蒙(けいもう)活動を展開中である。

 「プラスチック資源循環促進法」は、民間企業にもプラスチックの代替素材の活用や排出抑制を求めている。ストローを紙製にしたりする店々も増加中だが、可能な限り努力しなければならない。大型店舗もつ衣料品の会社も有料ながら紙袋に転じたりもしている。イオン、ユニクロが先頭を走るが、プラスチック製品を減少させる必要があり、各自治体もそのための運動を展開してほしい。

 分別回収の目的は、リサイクルを促進するためであるが、問題はその工場が不足していることだ。資金面の問題が大きいという。製鉄に必要なコークスに生まれ変わるプラスチック、資源としても有効だ。ただ、リサイクル業者がそれほど多くなく、自治体によっては分別回収に二の足を踏む。地域性もあろうが、プラスチックごみが、環境面で大きな影響を与えている自覚が求められる。焼却や埋め立てではなく、製品の再生を考えるべきである。いくつかの自治体が組合を作り、資金を出し合って工場を建設するなり、民間会社を誘致するべきである。かかる法律のためには、やはり広域行政が望ましい。

 分別回収に二の足を踏む自治体は、コストが高くつくからに他ならない。一括回収が楽であり、まとめて焼却すればコストもかからない。しかし、リサイクルの時代であるゆえ、「プラスチック資源循環促進法」の理念からすれば、コストがかかろうともプラスチック製品の再生を考えるべきである。努力義務だからといって、法の理念を無視するのはSDGsの精神にも反する。SDGsは、17の大きなゴール(目標)と、それぞれのゴールを達成するための169のターゲットを盛り込んでいる。達成の目標は、2030年までである。

 どの自治体もSDGsに通じるさまざまなことは、一番の関係者として達成のための努力をせねばならない。これだけ異常気候が続き、私たちの生活までも影響を受ける今、私たちは自治体を監視して、ゴールに近づけたいものだ。

 
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