あるお宿でのこと。チェックアウトタイムぎりぎりの時間帯で、お部屋を出たことがありました。
その直後、清掃スタッフ同士の会話が、私の耳に入ってきました。
「おい、出たぞ」。どうやら私のことを話しているようです。その通り私は部屋を出たのですが、何とも複雑な思いで宿を後にしたことを覚えています。
このお宿は接客サービスや料理に関しては、とても評判の良いお宿です。女将が表舞台に立ち、お客さまの目に触れる部分を、かなりの精度で磨き上げています。
目に見える箇所の仕切りが得意な経営者は、その他の部署については、現場に任せっきりになってしまっていることがあります。そのポジションの仕事をそつなくこなしていくことでよし、ということなのでしょうか。
後日このお宿の経営者からは、バック部門のスタッフには、お客さまとの遭遇を想定し、基本的なあいさつ程度は身に付けさせようか、とのことでした。
お客さまを意識すべき部署は、直接接する接客係やフロント係だけでよいのでしょうか? バック部門は職人技や、ルーチン作業に徹すればよいのでしょうか? これが今回の提起です。
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