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お宿の経営者は、継続して必要な利益を確保していかなければなりません。そのためには絶えず、計画した数値が出ているのかを確認しています。そのチェックポイントは決算数値であり、月次試算表や売上日報の累計値、通帳残高、各種営業データです。このことについてはこれまでしつこく触れてきました。
どの数値をチェックするのかについては、各お宿で決まっているでしょう。そして計画通りまたはそれを上回った時には、着地の数値を見た瞬間、ほっとします。そしてこの調子で今月も乗り切ろうという気持ちになります。
では計画通りにいかなかった場合はどうでしょうか。いくら足りなかったという数値の乖離(かいり)はすぐ分かるはずです。そこでそれが及ぼす影響を察します。例えば、この調子でいくと、2カ月後の月末の支払いが滞ってしまうとか、借入金の返済ができなくなるとかの不安要素が頭をよぎります。
個別具体的にはそれぞれのお宿によってさまざまですが、大なり小なり、経営は生き物ですので、良いこと悪いこと、さまざまなことが起こります。
さて経営者に限らず、人は何か大変なことが実際に起きるまで、行動を起こそうとはしないことが多いようです。
このまま続くとこうなるな、だから早めに手を打とう。とは思っても、まだ動かない、フリーズしてしまうという経験はありませんか。
「人は変化を嫌う」と言われます。素早く行動をし始める人は、まれのようです。多くは現状の不満や不安を肌で感じながら、このままではいけないと思いながら、相変わらず今日も昨日と同じ行動をとっています。
それは習性のようなものだから、仕方がない。あるいはこのままの状況が続いてもよいと考えるのであれば、今のまま過ごすことで良いのでしょう。納得済みの毎日なのですから、誰からも文句を言われる筋合いはありません。
しかし、自分1人だけならそれでもいい。私は経営者だ。自分の家族も従業員とその家族もある。自分の思考と行動で、これらの人々に与える影響は、どれだけに及ぶのか。それを考えると、このまま過ごせばいいというのは無責任すぎるのであれば、今すぐ思考と行動に変化を与えましょう。
このための処方箋を導いてくれるような方がそばにいればいいのですがなかなかそうはいかないですよね。だとしたら、とりあえずは1人で何とかしなければなりません。まずはこのまま今の状況が続くと仮定すると、いつの段階でどのようになるのか紙に書きます。具体的に問題が発生する日付も入れます。何かの結果に至るには、プロセス回路があり、それは時間でつながっています。
いきなりショートカットして起きることはごくまれです。だから今、あなたが危惧していることは、かなりの確率で起きます。それを何としても阻止したいと思ったならば、そのプロセスとそれに費やす時間を丁寧にひも解く必要があります。
複数のまずいことが浮かび上がったら、特に重大な案件を三つまで絞ります。そこで「なぜそうなったのか?」「どうやったらうまくいくか?」と考えるのでなく、可視化したプロセスの中の、どのポイントで線が切れているのかを見つけ出します。いきなり原因や解決方法を考えてみても、なかなかうまくはいきません。ここがとても大事です。
回路のスイッチが切れている箇所を見つけ出す。そこに課題解決を集中させる。ぜひ実践して下さい。
失敗の法則その39
このままだとこうなってしまうという悪い予想を、そのままにしてしまう。
その結果、それが現実に起きてしまう。
だから、現実と未来の姿をひもづけて、回路が遮断されている箇所を見つけ出そう。
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(観光経済新聞2025年2月3日号掲載コラム)