【学術×現場 15】入社3年以内に新卒5割以上が退職する宿泊業界 福島規子


 「モームリ」「やめたらいいねん」「OITOMA(オイトマ)」「ABAYO(アバヨ)」「辞めるんです」「SARABA(サラバ)」「即ヤメ」「ローキ」「0円退職ドロン」。

 いずれもユニークな名称だが、すべて退職代行サービスのサイト名である。5月の大型連休明けは退職代行サービスにとっては繁忙期で、特に、新卒者からの依頼が多かったらしい。

 退職代行サービスとは会社を辞めたいが、自分では言い出せない人に代わって会社に退職の意思を伝えてくれるもので、料金は2万円~5万円が相場。ただし、正社員あるいはパート・アルバイトといった雇用形態によって料金設定は異なる。

 ある日、突然、「退職代行サービス〇〇の△△と申しますが、御社の××様の退職の件で…」と電話がかかってくる。冒頭のような社名を言われると一瞬、いたずら電話ではないかと思い、身構えてしまう。初めて、電話を受けたときは「〇〇さんが辞めたいと仰っておりまして」と相手に話を切り出されても、「本人から何も聞いていません。本人がそこにいるなら、電話を代わっていただけますか。本人から直接、連絡をするよう伝えてください!」と半ばパニック気味で返答してしまったと人事担当者は苦笑する。

 退職代行サービスを介している時点で、本人は会社の人間とは会わずにスパッと辞めたいと考えているのだから、電話に出ることもないし、電話をかけ直してくることもない。また、たとえ退職の意思表明が、退職代行サービス経由であったとしても、会社は退職を拒むことはできないし、退職手続きも、直接、申し出があった場合と同じように進めなければならない。

 「上司に相談やあいさつもなく退職するとは非常識極まりない。社会人として失格」と言いたいところだが、実は、このような価値観自体が、1990年代半ばから2010年序盤に生まれたZ世代には通用しないのである。

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