何度も同じ場所を訪れたり、特定の企業やブランドの商品やサービスを繰り返し購入したり、利用したりする顧客をリピーター客という。また、ある期間にわたって特定のサービス組織を顧客が自発的に選択し、愛顧し続けることをロイヤルティと呼ぶ。
ロイヤルティが高い顧客は「この商品でなければダメなのだ」「ここは世界中でいちばん好きなホテル」といったように製品やサービスに対して信念とも言えるほどの強いこだわりや信頼、愛着を持つ。ただし、リピーター客が必ずしも高いロイヤルティを有しているとは限らない。
たとえば、ある顧客がホテルAの安い宿泊料金に満足し、繰り返し利用していたとしても、近隣に同等レベルでさらに安い料金のホテルBがオープンすれば、ホテルAの価格に対する満足度は低下する。しかも、ホテルAの施設やサービスが顧客にとっては「悪くない」程度の満足度だった場合、顧客が安いホテルBへ乗り換える可能性は高い。価格の安さだけで離反してしまう顧客は、リピーター客であってもロイヤルティの高い顧客(ロイヤルカスタマー)とは言えない。
顧客ロイヤルティは、「顔なじみになったフロントスタッフがいる」「お気に入りの客室がある」「客室備品の置き場所や使い方を熟知しているので自宅のように寛げる」など人、物、環境との関わりを通して「自分にとって有益な価値」を積み重ねていくことで徐々に形成されていく。顧客は、そのためにフロントスタッフと会話を交わしたり、同じ部屋のリクエストを何度も繰り返したり、自宅にいるように備品の位置を整えたりといったことに膨大な時間や費用といったコストをかける。
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