「身だしなみ基準書」は新卒、パート、派遣等の雇用形態に関係なく従業員全員が順守すべきものである。基準書は入社前に配布し、入社当日に基準通りに整えてあるかをチェックするのが基本である。
基準書には「爪は手のひらからみて2センチ以内に切りそろえてありますか」「体臭・口臭・足臭はありませんか」「制服やスーツから香水や強い柔軟剤の匂いはしていませんか」といった項目のほか、「スーツの靴下は肌が隠れる長さのものか」「靴下の色は黒または紺か」「ピアス、つけまつげはしていないか」などの細則が付加される。ピアスやつけまつげは料理への異物混入が懸念されるほか、身体に穴をあけることに抵抗感を覚える高齢者や保守的な価値観の顧客も少なくないことからこれらを禁止している旅館も多い。
一方、ビジネスマナーを無視してスーツに白い綿靴下を合わせたり、素肌が見えるくるぶし丈の靴下を履いたりする若手男性社員もいるが、彼らは「なぜ、ダメなのかがわからない」と首を傾げる。ダークスーツに白靴下では足元が悪目立ちして顔よりも先に足元に目が行くから、くるぶし丈の靴下で椅子に掛けるとすねが見えてしまうから等々ダメな理由を懇々と説くのだが、それでも納得がいかないのか不満気な表情を崩さない。このような場面では、つい、「接客業なんだから、当り前でしょッ」と声を荒げたくもなる。
だが、昭和の頃は一言、怒鳴れば済んだことでも、令和となったいまでは通用しない。
もうひとつ例を挙げよう。最近、女性従業員とよくもめるネイル問題。
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