住民のつながりの場
観光経済新聞、塗料報知、農村ニュース、ハウジング・トリビューンの4紙誌は、2022年共同キャンペーン「地域から元気を 地方 創生が生み出す未来」を展開しています。今、各地で芽吹いている地域活性化の動きを、観光業、農業、住宅・建設業などの視点でレポートします。
「大埜地集合住宅」の敷地内、鮎喰川に面するように整備された「鮎喰川コモン」は、「コモンハウス」を核に広場や川沿いの遊歩道で構成、2020年11月に開所した。「大埜地集合住宅」を計画する上で「地域の人や新たに住み始めた人が交流できるような場が必要」(一般社団法人神山つなぐ公社・馬場達郎代表理事)と考えた。
町のリビングとして、世代を問わず誰でも気軽に立ち寄れる施設として「過度に”交流”にこだわらず、1人でも気軽に過ごせる環境」(馬場代表理事)を目指した。中でも子育て世帯を一つの軸とした。少子化の中で学校が減り、登下校はバスになり、自宅に帰ると近くに一緒に遊ぶ子どもはいない。さらに町内には図書館や児童館がなく、子ども同士が集まる場所や機会も少なかった。
こうした背景もあり、「鮎喰川コモン」はさまざまな機能を兼ね備える複合施設として計画された。
「コモンハウス」は平屋建て、延床面積145.22平方メートル。小上がり、本の廊下、板間など、さまざまな過ごし方ができる居場所だ。
特徴の一つが町産材を使って建設したこと。戦後、全国的にも早い時期に植林を行うなど豊かな森林資源を持つ神山町は、この神山産材の利活用に向けての取り組みを進めている。産地認証の証明書を添付するローカル認証制度を設け、公共施設などへの利用を徹底しており、「コモンハウス」でも神山産材が用いられた。
開館時間は9~18時、木、金、土曜は21時(火曜は休館)。
コロナ禍で積極的な活用呼び掛けが難しいものの、ロケーションの良さを生かしてインスタライブが行われるなど、さまざまに活用されている。
よく活用する子ども、決まった時間に訪れる高齢者なども増えており、住民のつながりの場として機能し始めている。
大埜地集合住宅
鮎喰川コモン