【専門紙誌の視点で見る阪神・淡路大震災からの復興】 復興のモデルつくる 被災者に生活再建支援金 ハウジングトリビューン


 1995年1月に発生した兵庫県南部地震は、発生当時、戦後最大規模となる阪神・淡路大震災という大災害を引き起こした。また、1948年の福井地震をきっかけに設置された「震度7」が適用された初めての事例でもある。
 兵庫県南部地震で初適用された「震度7」は、その後、新潟県中越地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震、北海道胆振東部地震、そして今年発生した能登半島地震で観測と、約30年間に5回も発生している。言い換えれば、戦後の大規模災害への対策は、兵庫県南部地震の経験から積み上げられてきたと言っていい。

 被災地からの復興を住まいという視点から見ても、阪神・淡路大震災をきっかけに対策が大きく動いた。その最も顕著な例が1998年に成立、施行された「被災者生活再建支援法」である。それまで自然災害による個人の被害は自助努力が原則であった。つまり個人の資産である住宅に対して公費が使われることはなかったのであるが、同法により、住宅が全壊・半壊などの被害にあった世帯に対して、生活必需品に対して100万円の被災者生活再建支援金が支給されることになった。仕組みとしては、全都道府県の拠出による基金から支援金を支給するもので、ここに国からの補助が行われる。以降、随時、見直しが行われ、対象や金額が拡充、現在は、最大300万円が支給される。

 復興に向けて重要となるのが生活の基盤となる住まいと住民の生業だ。

 阪神・淡路大震災の住家被害は、全壊10万4906棟、半壊14万4274棟、一部破壊39万506棟と、計63万9686棟に達した。全壊・半壊世帯は46万356世帯である。こうした被災者に対する1次対応として建設されたのが応急仮設住宅で、最終建設戸数は634団地・4万8300戸に及ぶ。これだけ膨大な数の応急仮設住宅の数を短期間で建設するのは初のケースであった。ただ、これら住宅は1次的な仮の住まいであり、重要なのは実際の復興に向けた住まいづくり・まちづくりである。

 兵庫県は、1995年7月に「阪神・淡路大震災復興計画(ひょうごフェニックス計画)」をまとめて10年後の復興の姿を描くとともに、同年8月に「緊急復興3カ年計画」で特に緊急を要するインフラ、住宅、産業の3分野の計画を策定した。この推進により、住宅の計画目標12万5千戸に対し実績16万9千戸など、1997年度末には目標を達成した。以降、定期的に復興状況の検証を行い、課題に取り組んだ。2015年には震災20年の節目に、同震災と東日本大震災における復興への取り組み課題と成果について12分野にわたる検証を行い、大規模災害への備えに活用できる提言を取りまとめている。

 
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