2017年度の温泉総選挙で女子旅部門1位に輝いた長良川温泉に行ってきました。
清らかな水が流れる美しい長良川。長良川といえば鵜(う)飼いで知られますが、その川のほとりに湧くのが長良川温泉。宿泊した十八楼の客室からも雄大な川が一望でき、部屋でくつろぎながら、ぼんやりと水面を眺めるぜいたくな時間を過ごしました。
長良川温泉は名古屋駅から30分の距離の岐阜市内にあります。便利な立地ゆえに、15年前は9割が男性客。企業戦士が宴会場として活用し、宴席の後はスナックに流れたという時代もありました。しかし、いま長良川温泉を利用する客層は男性6割、女性4割と大きく変化。女性客は金曜の仕事帰りに名古屋からやって来るそうです。
男性に支持されてきた温泉地に、どうしたら女性客を呼べるかというお悩みを各地で聞いてきましたので、ご参考までにご紹介します。
このムーブメントを起こしたリーダー的役割をしているのが十八楼の女将・伊藤知子さんです。
「これだけ清流が近くに流れるのは強みだと思い、川の近くにあるライフスタイルを広めるようにしました。川遊び、川で釣った魚を食べる。夕日が川面に映える風景などです」
長良川温泉のパンフレットには美しい川の風景があり、レトロなかわいさのあるデザインが。これは、女性が好みそう。
「2005年に若女将会を作りました。そろいもそろって皆さん、細身の美人。仲もいいんですよ」とほほ笑むのは長良川温泉組合の幅恵理子さん。若女将のメディア出演の際にはマネージャーのように仕切っているそうです。見目麗しい若女将がずらりとそろうとなれば、メディア出演の依頼も多いでしょう。それに長良川温泉のイメージが女性的な印象になりますね。
現在若女将たちは、町づくりにも提言し、おもてなしセミナーも多数開催し、日々、学んでいる様子。また若女将が開発した紅茶「長良川~風の香り~」は甘く爽やか。長良川の川風をイメージしたそうです。第2弾は岐阜いちごを生かした紅茶を開発し、春には発売するそうです。
温泉専門家として私から一言申し上げるとすれば、ぜひ、長良川温泉のお湯もウリの一つにしてほしいです。泉質は単純鉄冷鉱泉。湯船にはられた赤茶色のお湯はぬるめでしたので、長く入っていられました。脱衣所には長良川の水が置かれてありましたので、水を飲みながら出たり入ったり小1時間ほど。入浴中は吹き出すように顔に汗がにじみました。じんわりじんわりと温まりました。これが鉄分の効果でしょう。湯上がりも、深部が温まった心地よさが広がり、足先まで温まったので、この晩は深い眠りに落ちました。これでかぐわしい紅茶で水分補給すれば心身ともにほぐれます。冷え性の女性に私からご紹介したいくらいです。
女子旅の場合はお風呂でおしゃべりすることが楽しみの一つですからね、これには最適のお湯ですよ。
(温泉エッセイスト)