東京表参道の新潟館ネスパスにて、新潟県の魅力ある情報を発信していくことを目的とした「新潟プレミアサロン」の話題は以前にこちらでもつづりました。毎月第3月曜日の午後3~7時に開催されるサロンは、5月20日で第3回を迎えました。
初回、第2回は同県の花角英世知事がご出席されたこともありまして、特に初回は参加者が100名を超える大盛況。第3回は公務によって知事はご出席されませんでしたが、サロンはにぎわいつつも少し落ち着き、出展者と取材に来たメディアの方々との交流を目的とした本来目指していた雰囲気でした。
サロンは小さなブースに出展者がいて、立ち寄ったメディア関係者に説明をするスタイルです。開催時間内なら取材はいつでも大歓迎。気軽に立ち寄っていただけるのもサロンの特徴です。
毎回“本日の新潟自慢”として30分ほどのミニ講演会があります。第3回は「にいがた庭園街道」をにいがた庭園街道ネットワーク事務局長の平原悟さんがご講演。かつてJRに勤務していた平原さんは、JR村上駅長時代に村上の町づくりに参加したそうです。
「にいがた庭園街道」とは、新潟県北部にある村上市から国道290号線沿いに、豪農や豪商、寺町や寺院などの伝統建築と庭園が集中している150キロの区間を指します。
その背景にはこんな物語がありました。江戸時代は沼地だった土地を干拓により恵みの大地に変え、明治のころは日本一の人口を誇った新潟。富を得た地主たちは、富を地域に還元しようと庭園を造りました。当時の地主の館が伝統建築として残っています。
ちなみにこの街道沿いは瀬波温泉、月岡温泉、村杉温泉、咲花温泉、湯田上温泉、岩室温泉など、泉質が異なる温泉が湧いています。庭と温泉巡りができるゴールデンルートでもあります。
これらの史実に基づく平原さんのお話は、聞いたメディアの気持ちを動かし、現地取材の依頼も入ったそうです。私も背景と温泉との関わりが面白いと感じたので全国放送のラジオ番組で話しました。
平原さんにサロンに参加された感想を聞いてみました。「話し手と聞き手の距離が近くて、双方が構えない。私も“普段着”のような心持ちで臨めました。歓談風の交流形式なのが良かったです」
他にも、わらで作られた猫のおうち「猫ちぐら」の制作の実演がありました。新潟から直行の高速船が運航し始めた粟島の滞在モデルプランも好評でした。明治の後半から生産が始まった安田瓦を食器に使用する丸三安田瓦工業さんの試みに、食専門誌の編集者が食い入るようにその器を見ていました。
「新潟ってPRベタだから、サロンのような新潟を伝える場があるといいですよね。だけど、もっとこうした方が魅力的なサロンになる」など、メディアの皆さんも積極的に関わろうとしてくださっていることも、とても心強いです。
私自身のサロンでの役割は、新潟の出展者と取材に来たメディアの皆さんをつなぐコーディネーター。控え目な出展者をサポートして、メディアにより効果的に伝える仕事です。新潟ゆかりのメディアの人たちへの声掛けもしています。
今回で第3回目を終えて、手ごたえを感じ、新潟プレミアサロンが育っていく未来が見えてわくわくしています。
(温泉エッセイスト)