【岐路 バスと観光 新たな関係 117】どう解決 乗務員不足14 高速バスマーケティング研究所代表 成定竜一


 さらに、入社する事業者によってバス乗務員のキャリアパスは大きく異なる。

 一般論としては、最初は路線バスや送迎バスなど(「大型」とはいっても車長10メートルクラスで、一般道のみ走行)からキャリアをはじめ、社内の基準を満たして初めて高速バスや貸し切りバス(車長12メートルクラスで、高速道路も走行)を運転する機会が与えられ、高齢となると再び小さいサイズの車両に戻ることが理想的だと言われている。
 しかし、当然ながら事業者によって、これら全ての業態や車両タイプを持っているとは限らない。

 上記の通り「まずは路線バスを運転し、将来的には高速バスを担当したい」という希望を描いている求職者がいたとして、希望がかなうまでのステップは事業者によって異なる。

 例えば、路線バスを担当する営業所と高速バスを担当する営業所が完全に分かれており、後者に異動して初めて本格的に高速バスに乗務するタイプの事業者と、営業所内の勤務シフトの中で高速バスの乗務が数日に一度、回ってくるタイプの事業者がある。また、一口に高速バスといっても、9割が昼行便であるが、中には夜行便中心の事業者もある。

 さらに、給与など待遇面でも事業者同士を単純比較することは難しい。大手事業者(主に路線バス事業者)の賃金カーブの角度が急である(年功的昇給を見込める)のに対し、中小貸し切りバス事業者の場合、入社直後から一定の収入を見込めるかわり、年齢や社歴が上がっても年収額はあまり変わらないことが多い。

 これまで、バス乗務員を目指す者にとって、自身のキャリアパスや職場としての事業者ごとの個性、待遇などについてあらかじめ情報を得る場がなかった。結果として、入社しても早期に離職する(または不満を持ちながら仕事をする)のであれば、生産性は上がらない。

 「バスドライバーnavi(どらなび)」がまず目指したことは、サイト上で各社の求人広告を比較できるようにすることで、求職者自身がそれらの情報に触れ、納得した事業者に応募する環境を作ることであった。

(高速バスマーケティング研究所代表)

 
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