【岐路 バスと観光 新たな関係 129】どう解決 乗務員不足26 高速バスマーケティング研究所代表 成定竜一


 バス乗務員に対して客観的な人事評価を行うには、第三者(アルバイトの「添乗モニター」ら)による覆面添乗調査など大きなリソースが必要となるため、私鉄系など大手バス事業者に導入が限定されがちであることはすでにご説明した。

 この問題について、最近気になる動きがある。

 地方の乗合バス事業者において、都市部の大手私鉄系ほどの予算を確保できないこともあって、車載のドライブレコーダー(通称「ドラレコ」)の動画と音声を人事評価に活用しようとする事業者があることだ。

 確かに、ドラレコはほとんどの乗合バス事業者で搭載されている(なお、貸し切りバスについてはドラレコ搭載が義務となっているが、それ以外のバスでは義務とはなっていない)。

 また、ドラレコの本来の役割は事故などの際の原因究明であるため、乗用車などでは車両の前方と後方の映像を記録するのみだが、バスの場合は車内事故の原因究明および接客トラブルへの対応のため、車内の様子や音声も併せて記録する多チャンネル型が導入されていることが多い。

 そのドラレコの映像と音声を、接客態度の評価に活用しようとするものである。

 業務用ドラレコと一体になっているデジタル式運行記録計(「デジタコ」)」の情報は、個々の乗務員の運転技術の把握には有効であろう。急な加減速や急ハンドルの頻度、平均燃費といった情報を数値で把握することができる。また、個別の事故や乗客トラブルの原因究明であれば、時間帯を特定して動画と音声を再生すればいい。

 例えば、「時刻表に記載の発車時刻より前に発車してしまい乗車できなかった」といった苦情に対しては、その時刻の前後の記録を呼び出せば、乗務員のミスかどうかはすぐ判明する。

 しかし、その動画と音声を人事評価の要素として活用には課題もあり、相応の準備が必要となるだろう。

 (高速バスマーケティング研究所代表)

 
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